「いよいよわが社もブランディングに取り組もう」と決断した経営者の皆様、あるいはプロジェクトリーダーに指名された管理職の皆様。まず何から手をつけようと考えていますか?
ロゴのデザインを新しくする、あるいはキャッチコピーをひねり出す……。
こうした「目に見えるアウトプット」は確かに重要です。しかし、その前段階に、プロジェクトの命運を分ける最大の分岐点が存在します。
それが、「プロジェクトチームの編成」です。
ブランディングの成功は、組織設計の段階、つまり「誰がチームにいるか」で8割が決まると言っても過言ではありません。どれほど優れた戦略を練っても、それを実行し、広める「人」の選定を誤れば、組織には深い溝が生まれ、プロジェクトは必ず停滞します。
本記事では、中小企業が陥りやすい「全社横断プロジェクト」の罠を解き明かし、戦略の鋭さと現場の納得感を両立させるための「二段構えのチーム設計」について解説します。
この記事の目次
失敗するチームの共通点
「とりあえず各部署の長を集める」ことの弊害
新プロジェクトを立ち上げる際、多くの日本企業がやりがちなのが「全部署から1人ずつ、部長クラスを招集する」という形式です。
「不公平感が出ないように」「全部署の意見を反映させるために」という配慮は、平時の組織運営では正しいかもしれません。しかし、ブランディングにおいてこれは「失敗への特急券」となるリスクをはらんでいます。
① 「妥協の産物」しか生まれない
② 意思決定のスピードが損なわれる
多忙な役職者が集まる会議は、日程調整だけで一苦労です。そのうえ、全員の合意を得ようとするあまり、一つの決断を下すのに膨大な時間がかかります。ブランディングには時としてトップの直感や迅速な方向転換が必要ですが、この「合議制チーム」はそのスピードを削いでしまいます。
③ 現場との「温度差」を広げてしまう
会議室で役職者たちが決めたスローガンを、ある日突然、全社朝礼などで発表しても、現場社員は冷めています。「また上が勝手に決めた」「現場の苦労も知らない綺麗事だ」と、自分事として捉えることができません。
【フェーズ1:コアチーム】
「戦略の純度」を保つ少数精鋭(3〜5名)
ブランディングの初期段階である「自社の軸(ブランド・エッセンス)」を言語化するフェーズでは、意思決定のスピードと、戦略の「純度」が命です。ここでは多人数は不要です。推奨するのは、3〜5名の少数精鋭による「コアチーム」の編成です。
特に従業員30名規模の企業様であれば、必ずしも形式的な部署分けにこだわる必要はありません。社長と、その右腕となる方の2名が「コアチーム」となり、残りの全社員を「未来を共に作るアンバサダー」として巻き込んでいく。そんなコンパクトで熱量の高い体制が、最も一体感を生むケースも多くあります。
ここでは、徹底的な現状分析と自社の棚卸しを行い、ブランドの「仮説(旗印)」を立てます。意見を広げすぎるとブランドの個性が死んでしまうため、あえて現場を巻き込みすぎないことがポイントです。
コアチームに必須の3つの役割
トップ(社長/経営役員)
最終決定権を持ち、会社の「未来図」を語れる唯一の存在です。ブランディングは単なる広報施策ではなく「経営戦略そのもの」です。トップが「何が何でもやる」という覚悟を持って参加しない限り、プロジェクトは組織の壁に阻まれて立ち往生します。
プロジェクトマネージャー(PM/推進役)
部署横断で動ける柔軟な若手〜中堅層が適任です。必要なのは「調整力」よりも「プロジェクトを前へ進める推進力」と「情熱」です。トップの想いを翻訳し、各所を駆け回る「実務の要」となる人材を選んでください。
外部パートナー(DIANT)
社内の「当たり前」を疑い、客観的な「尖り」を引き出す専門家です。社内政治や忖度に縛られない外部の視点があるからこそ、自社では気づけなかった「真の強み」が抽出されます。社内のバイアスを排除し、プロジェクトのスピードを落とさないための潤滑油としても機能します。
【フェーズ2:アンバサダー選抜】
熱量を伝播させる現場の「ハブ」
コアチームで研ぎ澄まされた「旗(ブランドの軸)」を作っても、それだけでは組織は動きません。次に必要なのは、その旗を現場に持ち帰り、自分たちの言葉で広めてくれる「ブランド・アンバサダー(現場キーマン)」です。
これは「説明会を開いて終わり」にするのではなく、組織に命を吹き込むための戦略的なプロセスです。コアチームが紡いだ「想いの糸(理念)」を、アンバサダーの手によって現場の「行動の糸(実践)」へと織りなしていく。この丁寧な連携があって初めて、ブランドは組織の中で息づき始めます。
選定基準は「職位」ではなく「影響力」
アンバサダーに選ぶべきは、単なる役職者ではありません。組織のパワーバランスを見極め、以下のタイプを特定してください。
- ベテランの精神的支柱:製造現場などで「あの人が言うなら、一度やってみるか」と思わせるような信頼の厚い職人やリーダー。
- 次世代のムードメーカー:各部署の若手・中堅から慕われ、現場の本音(不満や希望)を熟知している担当者など。
このように現場のキーマンを巻き込むことで、社内から自発的に「自分たちもやってみたい」「こう変えたい」という前向きな声(称賛の声)が上がる状態を目指します。これこそが、私たちが大切にしている「気持ちも声も上がる」組織の姿です。
「2割の余白」を持って巻き込む手法
最強の巻き込み術は、コアチームで10割すべてを固めてから「これに従え」と渡すのではなく、「8割の完成度」の段階でアンバサダーを招集することです。
「会社の進むべき軸はここまで見えた。でも、これを日々の業務でどう体現すべきか、最後の2割を埋めるには現場を一番知っている君たちの知恵が必要なんだ」
このように、あえて未完成な部分を残して相談を持ちかけることで、彼らの中に「自分たちがこのブランドを作った」という当事者意識が芽生えます。彼らが納得し、自分の言葉で同僚に語り始めたとき、ブランドは初めて組織の隅々まで熱を帯びて伝わっていきます。
組織のパワーバランスを見極めた「根回し」と「権限委譲」
組織である以上、必ず目に見えないパワーバランスが存在します。プロジェクトを円滑に進めるためには、この「組織の力学」を読み解くことが不可欠です。
戦略的な「根回し」
「根回し」とは「味方を増やすための対話」です。反対勢力になりそうな部門の実力者に対し、プロジェクトが始動する前にあえて意見を仰ぎ、彼らの「プライド」を尊重した立ち位置をあらかじめ用意しておく。こうした事前の調整が、後の大きな反対を「協力」に変えるのです。
健全な「権限委譲」の黄金比
トップは「ブランドの方向性(北極星)」を指し示す役割に徹し、具体的な「体現方法(どう動くか)」はアンバサダーや現場に委ねるべきです。すべてをトップダウンで決めつけるのではなく、現場が工夫できる「遊び」を残すことで、自律的なブランド文化が育ちます。
結論
組織のパワーバランスを読み解くのが「ブランディング」
強いブランドを作るチームには、「未来を語る力(コアチーム)」と「現場を動かす力(アンバサダー)」の両方が必要です。どちらが欠けても、ブランドはハリボテに終わります。
- 少人数で、戦略を研ぎ澄ませる。
- 現場のキーマンを、敬意を持って巻き込む。
- 対話を惜しまず、納得感を醸成する。
この「二段構え」の体制こそが、ブランディング成功の最短距離であり、最大の防衛策となります。
DIANTは貴社の「最強の布陣」作りから伴走します
「自社の中に、誰をアンバサダーに選べばいいか分からない」 「トップの想いが強すぎて、現場が引いてしまっている」 「外部の視点を入れて、戦略をもっと尖らせたい」
ブランディングの成功は、その会社独自の組織文化やパワーバランスをどう読み解き、どう人を配置するかにかかっています。
株式会社DIANTは、デザインや戦略の策定だけにとどまりません。貴社の組織の状態を客観的に見極め、最適なチーム設計から巻き込みのプロセスまで、貴社に最も適した形で伴走支援いたします。
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