ひとり歩きさせないブランド戦略の全体像と実務

ブランディングをはじめようと思っても、実際にどんな事をすればよいのか、何をする事がブランディングのなのか。

曖昧な部分が多くある事と思いますが、ブランディングという言葉がひとり歩きしてしまい、どこか抽象的になってしまいます。

ただでさえブランディングが抽象的に思われがちですので、そこをより具体的に落とし込まなければなりません。

今回はブランディングの実例を交えてブランディングの全体像と実務について解説したいと思います。

ブランディングの全体像

ブランディングの目的は、「顧客の満足度を上げ長期的に利用してもらい、評判を高め新規顧客獲得に貢献し、価格競争から抜け出すこと」を目的としています。

端的にいうと、「商品価値を最大化し自社に貢献する活動」と考えます。

これらを実務に落とし込む事でブランディング活動が始まり、長期的な積み重ねによりブランド化が進んでいきます。

図で見る通り様々な活動を通してブランディングは成立しており、ブランディングだけを進める事が事業の成功というわけではありません。

例えばマーケティングだけを行った場合、ブランディングの様に差積化は出来ません。

差積化については、「もう真似されない!差別化を差別化する差積化とは」をご確認ください。

ブランディング活動の区分け

ブランディング活動には大きく分けて2つの活動があります。

それが、コンテンツ提供価値とリレーション提供価値です。

コンテンツ提供価値、リレーション提供価値については「魅力を最大限引き出すために必要なブランディングとは?」をご参照ください。

この二つ提供価値を広げる事でブランドの最大化を図ります。

ブランド価値が広がる事

コンテンツ提供価値、リレーション提供価値を高めることでブランド価値が広がり、絆の強化・評判の促進につながります。

構図出典:「ブランディングの基本」より

絆の強化・評判の促進が広がる事によりその後のコンテンツ提供価値・リレーション提供価値を創り出す原石となります。

ブランディング活動業務フェーズ

先ほどの価値循環図にブランディング活動業務を当てはめると4つのフェーズがあります。

ブランディング活動の準備

ブランディング活動を始めるための準備段階です。

企業理念や自社のコンセプトなどがない場合、そこから作り上げる必要があります。

3C分析やPEST分析、SWOT分析などを活用し、自社、市場、競合などを調査・分析を行います。

参考になるコンテンツ

そしてブランディング活動の根幹となる、

  • ブランドストーリー
  • ブランドパートナー
  • ブランドパーソナリティ

を設定します。

さらにブランディングの必要性も定義しておくようにしましょう。

商品提供価値から、ブランディング活動を行う事で広がり方とその必要性を詳細に決めておきましょう。

上記3つの設定方法は以下を参考にしてみてください。

参考になるコンテンツ

ブランド価値の最大化

コンテンツ提供価値・リレーション提供価値・商品提供価値を通して、ブランド価値の最大化を図ります。

以前ブランドは原体験が重要とお話をいたしましたが、その原体験の価値をより高められるようブランディングをしていく必要があります。

ブランド価値の拡散

原体験を過ぎた顧客は、絆強化と評判促進のフェーズへと移行します。

絆強化の設計と評判促進の設計は以下のコンテンツを参照してください。

顧客満足度と売上を上げる顧客との絆と評判の設計方法

原石の抽出

顧客から次のコンテンツ提供価値やリレーション提供価値になりそうな素材を発見し、価値提供に反映させていきます。

これらを繰り返す事により、アイデアも枯渇せずにブランド化を促進することができます。

ブランディングの目的と実例

ここでブランディングの目的と実例について触れてみたいと思います。

さきほどの「ブランディング活動の準備」にブランディングの必要性を定義するとありましたが、そのブランディングの必要性を定義したいと思います。

ブランディングをすることによるメリットは以下の3つに分けられます。

  • 顧客満足度の向上
  • 顧客との絆強化
  • 顧客からの評判向上

この3つの項目を明確にすることでブランディングを行うための定義が可能となります。

ブランディングは続けるほどに上記3つが強化されていき企業に大きく貢献する活動となります。

それでは、ラーメン屋、ホテル、デザイン事務所の3つの業種別にブランディングの目的の事例を考えてみたいと思います。

ラーメン屋のブランディングの目的

ブランド価値が高まる事で、顧客満足度が上がります。

それはラーメン一杯に対する満足度が上がるので、一杯あたりの価格の許容範囲が広がります

それにより使用する材料や工程の手間を増やし商品提供価値を上げる事が可能となります。

絆強化により「ラーメンが食べたい」と思った時の優先順位が上がります

いままで10回に1回利用していたラーメン屋さんであっても、ブランディングによる絆設計を行う事で、2回3回と来店率が上がります。

さらにそれだけ頻度が高く利用をする事で顧客周りへの評判向上にもつながります。

対象の顧客が「おすすめのラーメン屋さんは?」と聞かれれば頻度が高いブランディングをしているラーメン屋を勧めることでしょう。

ホテルのブランディングの目的

ブランド価値が高まり顧客満足度が上がる事でホテル滞在中のオプションやメニュー・プランの利用率も上がります

総じて全体の収益の向上へとつながります。

絆強化により、ホテルがある特定の地域を再訪する際は必ず満足度の高いホテルへと泊まります。

それらの状態がより強化されていけば、そのホテルに泊まるために地方へ向かうなんてことも考えられます。

評判の向上も同じく、それだけ満足度が向上した顧客はSNSや口コミで拡散をしてくれるはずです。

旅行へ行った話を周りにした際にもそのホテルの事は話にあがりますしそれを聞いた周りはホテルへ意識が向きます

デザイン事務所のブランディングの目的

ブランド価値が高まる事で、顧客満足度がピークになり、以降のデザイン業務の依頼も積極的になります。

絆強化により、デザインに付随する相談もされやすくなり、リピートや紹介も増加します。

紹介は評判向上の証であり、それがまた新たな新規顧客を呼び込む力となります。

まとめ

価値を認めてもらうことがブランド力へとつながります。

さらにブランディング活動は会社全体で行うべきであり、個人・部署で行う業務ではありません。

ブランディングの全体業務を俯瞰した上で的確な価値創造を進めることをおすすめします。

危機を深く知る。ファイブフォース分析で競争を解き明かそう。

自社を脅かす脅威は、実に様々な要因があります。

原価の高騰や買い手の判断基準、新規参入や競合、代替品などそれぞれの脅威に対して自社はさらには業界はどのように対処をするのか

それを明確にさせるにはファイブフォース分析が有効的です。
今回は、ファイブフォース分析のやり方や使い方について解説をしていきたいと思います。

業界全体の脅威を明らかにする。

ファイブフォース分析の目的は、5つのフォース(脅威)を明らかにさせ、その脅威に対しての対処方法や、自社の課題、強みなどを明確にさせていく為の分析です。

それぞれの業界には様々な脅威や危機があります。

それらの危機に対して自社や競合はどの様に対処をしていくのかにより、業界そのものの生き残りが左右するといえます。

業界内で脅威に対してきちんとした認識を持たず、対処をしなかったせいで業界自体の存在が脅かされてしまうなんて事にもなりかねません。

 

ファイブフォース分析の5つの項目は以下の通りです。

  • 既存同業者との敵対
  • 新規参入の脅威
  • 代替品の脅威
  • 売り手の交渉力
  • 買い手の交渉力

それぞれの項目に対して解説をしていきます。

既存同業者との敵対

ほとんどの業界では競合が存在します。

ライバル会社なくして自社の成長はないといっても過言ではないでしょう。

競争が激しい業界とそうでない業界があります。

それでも競合はどの様な対策を練り、どのような戦略を打ってきているのかは把握しておく必要があります。

差別化しにくい業界や、業界の成長が頭打ちの業界はより競争が激化するはずです。

どのような側面から自社は対抗していくのか、それともどの競合と共闘していくのか戦略を考える必要があります。

新規参入企業の脅威

参入障壁の低い業界は、新規参入の脅威に気をつけなければなりません。

新規参入により、自社のシェアはどれくらい奪われるリスクがあるのか、新規参入に対してどのような対策を練るのか考えてみましょう。

新規参入の脅威から自社を守るためには、資金力や自社にしかできない技術力などがあげられます。

サービスの展開方法やどの層の顧客に絞るかなどにより地盤が揺るがない業界内のポジションを得ることができます。

代替品の脅威

自社が展開するサービスに変わる別なサービスや新商品などが代替品の脅威となります。

今まで競合が少なく、ある一手の価格で独占出来ていても代替品の脅威により一気に業界内の様子が変わってしまうなんてことも珍しくありません。

代替品に対しては価格や特長、切り替える顧客のリスクなどを考えてみて対処・対策を練ると良いでしょう。

売り手の交渉力

売り手とは、自社に対しての売り手を指します。

原材料を供給する業者などが対象となります。

原価が上がってしまえば自社の収益は減らさざる負えません。

安易に値上げをしてしまえば顧客が離れるリスクを考えなければなりません。

売り手が交渉力を大きく持つことで自社にとって不利な状況になります。

そんな不利な状況にならないためには自社はどの様な対策を練っておくべきかを考えておく必要があるでしょう。

買い手の交渉力

買い手とは自社にとっての顧客を指します。

BtoBの場合であれば、卸先や販売先の会社、BtoCの場合であれば消費者が該当します。

商売の基本は需要と供給です。

この需要と供給のバランスが崩れてしまうと、市場に大きな変動が起こります。供給過多や需要不足に陥らないためには、自社が展開するサービスの適正価格や市場の規模を把握しておく必要があります。

市場の拡大・縮小に対して自社はどの様な対応を取るのか考えておきましょう。

 

脅威にどう立ち向かうか

ファイブフォース分析は脅威を認知するだけではありません。

その脅威に対して自社はどの様に対処し、どの様に立ち向かうべきなのかを考えていく必要があります。

次は、脅威を認識したうえで考えるべきことを解説します。

自社の課題と強みを明確にしよう

5つの脅威に立ち向かうためには、自社を知らなければなりません。

自社の強みと弱みを知り、課題を見つけてみましょう。

自社の強みと弱みを知るには、SWOT分析がおすすめです。

【テンプレート付】脅威を減らして機会を増やすSWOT分析」を参考に実践してみてください。

ブランディングは全ての脅威に立ち向かえる。

自社や自社商品・サービスのブランド化は、すべての脅威に立ち向かえる対策方法の一つです。

差別化を差別化できるブランディングは対策に対して時間はかかるものの積み重ねて差をつける対策ですので、是非選択肢の一つとして知っておくと良いでしょう。

詳しくは、「魅力を最大限引き出すために必要なブランディングとは?」を参照してみてください。

まとめ

ファイブフォース分析を行い自社を取り巻く業界全体の脅威を把握しましょう。

把握することで自社のポジションや取り組むべき課題を明らかにしていきましょう。

【テンプレート付】世の中の変化を自社の変化にPEST分析

画像提供:Freepikによるデザイン

ブランディングを成功させるためには周りを知らなければ上手くいきません。

自社を取り巻く環境から、世の中の動きを知らなければなりません。

各項目別に記入をして自社を取り巻く業界の状態を分析することができるPEST分析は最適です。

今回はPEST分析やり方やPEST分析には欠かせない仮説の立て方等を解説いたします。

PEST分析とは

PEST分析(ペスト分析)とは、Politics(政治)Economy(経済)Society(社会)Technology(技術)の頭文字を取った分析手法の一つです。

業界や世の中全体を見渡す分析方法で、マーケティングではマクロ環境と言います。

マクロ環境とは

マクロ環境とは一言でいうと世の中全体の変化などを指します。

全ての企業は世の中の動きに影響をされます。

世の中の動きを分析し把握することで世の中の変化により影響する事に仮説を立て今後の経営や運営に反映させていきます。

PEST分析ではこのマクロ環境を、政治、経済、社会、技術の4つに分けて分析を行います。

全体を見ることで分かる事

世の中の変化による自社への影響は一つだけではありません。

さらに世の中の変化はコントロールすることができません。

つまりコントロール不可能な様々な要因

多角的に受ける影響を洞察することで中長期的に今後の運営方針などを策定することができます。

PEST分析のやり方

3~5年のスパンで世の中の変化を予想していきましょう。

予想と言っても難しいと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、難しく考える必要はありません。

各分野の最新の情勢や情報を調べてみましょう。

新しい情報から少し先の未来は予測できます。

新たな技術から応用する事で新たな便利なサービスが生まれます。

Politics(政治的環境要因)

政治的環境要因は法律や税制、補助金、政令、条約などの要因があります。

自社に関連する政治的要因を個々のマスに記載していきましょう。

自社に直接関係がない事でも起因して影響を受けることも考慮し仮説を立てていきましょう。

Economy(経済的環境要因)

経済的環境要因は、消費動向や景気、物価、経済成長率などの要因があります。

景気の左右は小売業に直接影響しますし、景気が下向きの場合は物価や消費動向の工夫が必要かもしれません。

Society(社会的環境要因)

社会的環境要因は、人口の増減や流行、世帯などの要因があります。

人口増減は消費活動に直接影響します。

トレンドなども消費活動に影響するので業種によってアンテナは高く張っておく必要があります。

Technology(技術的環境要因)

技術的環境要因は、IT技術の進歩や新技術、イノベーションなどの要因があります。

近年のIT技術やインターネットサービスの進化はめまぐるしいものがあります。

今後の動向や新技術の発表などを調査しながら仮説を立てていきましょう。

定期的に行うPEST分析

PEST分析は、3~5年先の世の中に仮説を立てて分析を行っていきます。

しかし世間はめまぐるしく変化をします。

仮説通りには行くとは限りません。

PEST分析は定期的に行いその精度を高めていく必要があります。

日々情報収集を行い、世の中の動きを敏感に察知するそんな習慣をつけることでより柔軟に対応できる事が可能です。

情報のアンテナを張ろう

今やスマホ一つで沢山の情報を得ることができます。

PEST分析における四つのカテゴリに対しどの様な情報収集方法が良いのか調べておくようにしましょう。

ニュースアプリや各企業の新商品発表イベントなど、オンラインでもオフラインでも集めることができる情報はたくさんあります。

仮説は情報がないとできない。

PEST分析は仮説を立てる分析方法です。

仮説を立てるには多くの情報を集める必要があります。

とにかくたくさんの情報を集めてそこから精査を行うようにしましょう。

一見、関係のない情報同士を結び付けることでだれも予測ができない仮説を立てることができます。

情報は素材です。組み合わせ次第で大きなイノベーションを起こすことだって不可能ではありません

環境の変化の長短

環境の変化には長いものと短いものがあります。

流行などが最たる例で、流行と呼ばれるものはやがて流行は過ぎてしまいます。

ですがインターネットやスマートフォンなどの普及は人々の生活を変化させるほどの変化を起こします。

過去の事例を見ながらどの変化が長いもので、どんなものが短いものなのかを見極める必要性があります。

一時的な流行に乗れても続かなければ意味がありません。

業界を取り巻く環境

自社に関連する業界ではどのような変化が起きているかも知っていかなければなりません。

それらの変化に伴い、自社は何ができるのかを考えていく必要があります。

あくまでも自社のコンセプトをぶらさずに自社はどんなことができるのかを明確にしていくようにしましょう。

まとめ

  • PEST分析をいつでもできるようにするためには、常に情報に敏感となろう。
  • 一見関係がなさそうな出来事も自社に波及するかもしれない。
  • 世の中の不便を人はどんどん解決してきた、次はどんな不便が解決されるのか仮説を立ててみよう。
  • 不便の解消により自社にはどんな影響が行くのか考えてみよう。
  • 環境の変化により自社のポジションは、見せ方はこのままで良いのかしっかりと考えよう。
  • 自社のコンセプトはぶらさずに変わらないために変わり続けるように努めよう。

PEST分析テンプレートはこちらから

自社を取り巻く業界の状態を分析してみよう!