ブランディングに関わらずビジネスをする上で欠かせないのがお客様との関わり方が大切です。
お客様といい関係が持てなければ新たなお客様は入ってきません。
また新たなお客様が何かの拍子に利用したとしてもいい関係を持てなければリピートにもつながりません。
ビジネスをする上で至上命題と言えます。
ブランディングにも絆と評判を設計し戦略として準備する施策があります。
今回は絆と評判の概念と設計方法について解説をしていきたいと思います。
自社をとりまく顧客との関係
ビジネスをする上で重要になる、顧客との関係は出来る限り良い関係であることが求められます。
ブランディングにおいてもブランド化を成功に導くためには顧客との関係性が大切です。
顧客との関係がよくなることで大きく分けて2つのメリットがあります。
- 口コミなどの評判の向上による新規顧客獲得コスト削減
- 関係性向上により絆が生まれ、長期にわたり自社ブランドを愛用
上記2つが顧客との関係性を上げるメリットです。
いい商品やサービスを提供しその上で顧客との関係性を高める事で、より多くの人達へ拡散されていきます。
顧客の区分
いきなりブランドパートナーとなりうる顧客は登場しません。
そこに至るまでには以下の様な経過をたどり優良顧客へと成長していきます。
次期顧客
現在のライフスタイルでは商品・サービスカテゴリー接点はなく必要性を説く必要がある、関心も意識も向いていない状態
潜在顧客
商品・サービスカテゴリーの必要性があり、きっかけがあれば利用をする状態、カテゴリーに関心はあるもののこちらには意識が向いていない。
検討顧客
自社ブランドの利用を検討しており、意識も部分的にではあるが向いている状態。
現在顧客
自社ブランドを利用しており、意識が強く向いている状態。
回遊顧客
自社ブランドの利用をづまえてたブランドも並行して利用している状態。意識は部分的に向いている。
離脱顧客
商品・サービスカテゴリーの必要性はあるものの自社ブランドの利用はなくなりつつある状態。意識はこちらに向いていない
卒業顧客
商品・サービスカテゴリーとの接点がないライフスタイルに変化、自社ブランドへの利用も終了している。関心も意識も向いていない状態。
絆と評判
ブランディングにおける絆と評判の定義は以下のようなものになります。
絆とは
無名の状態からブランドはスタートします。
それが徐々に認知されていきブランディングにより多くの顧客の支持を得る事になります。
絆が深まる事により顧客生涯価値(LTV)が向上していきます。
顧客生涯価値は一人の顧客が生涯にわたりブランドを購入し続けることにより得られる価値を指します。
生涯というと計測できないので、1~3年の区切りを持って計測をします。
顧客生涯価値は、
頻度×利益率×単価=顧客生涯価値
の算出方法で計算していきます。
評判とは
ブランディングにおける評判は顧客が商品やサービスを体験することによる評価となり、それが評判となり新規顧客流入へ繋がる仕組みの事を指します。
評判が上がる事により新規顧客獲得コスト(CPA)の削減ができます。
コストの削減は利益の向上へとつながります。
通常新規顧客を獲得するのには集客手段として広告や営業などのコストをかけて集客をしますが、評判が上がる事でコストをかけずに新規顧客を獲得することが可能となります。
企業側でできる事
「絆」も「評判」どちらも企業側でコントロールすることはできません。
顧客がどう感じどう思うのかは顧客次第と言えます。
その感じ方や思いを絆や評判へ促す活動がブランディングです。
絆と評判の設計方法
それでは絆と評判を促すためにどの様な考え方や活動が必要なのか解説をしていきます。
価値の最大化
長く愛用しよう、使ってみようかなと顧客に思ってもらうためには何が必要でしょうか。
ブランディングが重視しているのが原体験の価値を最大化させることです。
初めて利用した商品やサービスが思っていた(聞いていた)よりも良いものの場合ブランド価値はより大きくなります。
原体験がより良いものになる事で、周りにもお勧めしたくなりますし、長く愛用したいと考えます。
売り込まず顧客ベースで考える
それでは原体験が向上するにはどうすればよいのでしょうか。
ブランディングをしているブランドは、顧客にどんな満足度を提供できるでしょうか。
例えばラーメン屋とフランス料理店で考えてみましょう。
料理の味、品質はもちろんのこと、ラーメン屋の場合、提供までの早さやサイドメニューの有無などを重視するでしょう。
しかしフランス料理店の場合、提供までの早さは重要ではありません。
お店の雰囲気や食事中にする会話を楽しむ時間、など求めているものが異なります。
極端な2つの例を挙げましたが、ブランディングとは、ブランドをはじめて体験する際に自社の良さやコンセプトに沿った価値の最大化ができるかが大切です。
わざわざ顧客へ売り込む必要はありません。
顧客が何を求めているのか、さらには自社のブランドは何を提供すべきなのかこの二つを一致させなければ価値の最大化は成立しません。
絆の設計方法
絆の設計とは顧客生涯価値を向上させるために行います。
つまり利用顧客が継続して利用してもらうように対策を行う活動を指します。
基本的に回遊・離脱・卒業顧客を現在顧客へと引き戻す事を促す活動です。
取り扱っている商品やサービスによって絆強化の方法が異なります。
ブランドの絆の役割は以下の様なものになります。
図出典:「ブランディングの基本」より
利用頻度が高いものの絆強化
このカテゴリに入る商品群は高級時計や高級輸入自動車など関心度も高くなおかつ利用頻度が高い商品群を指します。
四方向の内「有利な状況を支える絆」に該当します。
この場合は顧客同士をつなげる活動が有効的です。
ブランドでの特別会員サロンやコミュニティなどを設置し顧客同士をつなげてブランド意識を高めていく活動が有効的でしょう。
利用頻度は高いが関心度が低いものの絆強化
このカテゴリに入る商品群は日用品や生活家電など生活にはなくてはならないものだが、関心度が高くないものを指します。
四方向の内「関心度の低さをカバーする絆」に該当します。
この場合は、意識の強さを喚起させブランドと顧客の絆を強くする活動が有効的です。
関心不足を解消したいので、ユニークで誰もが参加できるコミュニティサイトなどの運営が良いでしょう。
鮮度を重視した冷蔵庫の場合、鮮度がテーマの料理写真を投稿してもらうなどの活動が有効的でしょう。
利用頻度が低いが関心度が高いもの
このカテゴリに入る商品群は保険サービスや旅館ホテルなどの一度契約・利用をしたら利用の間隔が長い商品群を指します。
四方向の内「間隔の長さをカバーする絆」に該当します。
この場合は、意識が向く頻度を上げ、絆を短くする活動が有効的です。
自動車保険の場合、事故が起こった際のトラブルQ&Aや自動車メンテナンスなどの情報を記載したポータルサイトの運営や旅館やホテルの場合はSNS等の活用で季節ごとのメニューの紹介や紅葉などのロケーションやイベントを投稿するなどが考えられます。
利用頻度が低く、関心度も低いもの
このカテゴリに入る商品群は季節商品やファストファッションなどが該当します。
四方向の内一番絆を作りにくい「不利な状況をくつがえす絆」に該当します。
このカテゴリは別な視点で絆を補強する活動が有効的です。
現在顧客へ回帰するきっかけを提供しなければなりません。
商品提供価値以外の別な活動での絆強化をしなければなりません。
商品開発を顧客と行ったり、別分野のプロフェッショナルと共同開発を行うなどが考えられます。
評判の設計方法
評判とは口コミの事です。
口コミを企業側がコントロールすることは不可能です。
しかし口コミが起きる確率を高めることは可能です。
評判の設計を行う事により、いまだ自社ブランドを利用していない、次期・潜在・検討顧客を現在顧客へ促す活動を指します。
いかに自社ブランドに意識が向けられ納得した上で利用をしてもらえるかが重要となります。
評判の設計はマーケティングと組み合わせて活動を行うようにしましょう。
SNSでの評判設計
フェイスブックやツイッターなどのSNSでの自社ブランドの拡散は、その顧客回り人達への評判につながります。
利用顧客にSNSでいかに発信してもらえるかが重要です。
写真映えするシーンやSNSへの投稿型イベントなどを開催し、投稿を促すなどの試作が良いでしょう。
レビューサイトの評判設計
ショッピングサイトなどにみられるレビューは、ネットショッピングなどでは非常に重要なポイントとなります。
商品提供価値そのものの優劣によってレビューは左右されますが、そのレビューに対しての対応も重要になっていきます。
顧客の声を反映し、改善してくれる姿勢は評判となりやすいでしょう。
またレビューを促すことも重要です。
「レビューを書いたら送料無料」などのイベントキャンペーンもおすすめします。
自社コンテンツの評判設計
ブログやホームページなどでカテゴリーに親和性のあるコンテンツを掲載する事も有効的です。
建築会社が住宅に関する豆知識などを紹介したり、不動産会社が賃貸に関する知識を紹介するなど親和性の高いコンテンツを提供することで信頼性や安心感を評判に変えることができます。
種を蒔いて芽が出るのを待つ
絆や評判の設計は全て芽が出て上手くいくとは限りませんが種を蒔き続けるという事を諦めてはいけません。
自社ブランドに沿った絆・評判設計が重要となります。
まとめ
- 絆設計は利用継続を促す活動
- 評判設計は新規顧客を集客する為の活動
- 商品やサービスによって設計方法は異なる
- なぜ離脱するのか、利用したくなるのかを考えて施策を行う。
- 顧客の関心度に合わせた設計を心がけよう。
- ネットなどを掛け合わせた集客をしよう。