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キャンプ用品店で感じる「胸の高鳴り」の正体
休日に家族とイオンへ買い物に行く。
食料品の買い出しを終え、ふと足を運ぶのがアウトドア用品のコーナーや専門店です。
ずらりと並んだギア(道具)たち。テント、チェア、ランタン・・・。
それらを眺めているだけで、なぜこれほど心が躍るのでしょうか。
特に私の目を引くのは、各メーカーの「ロゴ」です 。
Mont-bell(モンベル) のロゴを見ると、実用的で頼りがいのある安心感を感じます。
Snow Peak(スノーピーク) のアスタリスク(星印)を見ると、洗練されたライフスタイルへの憧れや、焚き火を囲むコミュニティの温かさを感じます。
Coleman(コールマン) や HELLY HANSEN(ヘリーハンセン) もまた、違った歴史と物語を語りかけてきます。
私たちが特定のブランドやロゴに惹かれるとき、それは単に「形がかっこいいから」ではありません。
そのロゴの向こう側にある「企業の思想(フィロソフィー)」や「姿勢(スタンス)」に共鳴しているからです。
もし、採用担当のあなたが離職率に悩み、良い人材に出会いたい、どうすれば自社の魅力を正しく伝えられるか、と頭を抱えているのなら、一度パソコンを閉じ、頭の中で「キャンプ用品店」に行ってみませんか?
実は、採用ブランディングの極意は、モンベルとスノーピークの違いを理解することに隠されていたりします。
この記事では、アウトドアブランドのアナロジー(類推)を使って、あなたの会社が目指すべき「採用の方向性」と、ミスマッチを防ぐための「見せ方」について、じっくりと考えてみたいと思います。
1.ブランド人格の定義 〜機能のモンベルか、情緒のスノーピークか〜
採用広報において最も危険なのは「どんな会社か」が曖昧なまま、「いい人」を集めようとすることです。
これは、キャンプで「どんな山に登るか」を決めずに「とりあえずいい靴」を買おうとするのと同じです。
まずは、あなたの会社が、アウトドアブランドで言うところの「どちらのタイプ」に近いかを診断してみましょう。
タイプA:モンベル型(Function is Beauty / 機能美)
モンベルの最大の特徴は、「高品質なものを、適正価格で、誰にでも使いやすく」提供する点にあります。
彼らの哲学は「Function is Beauty(機能美)」。
過度な装飾を排し、徹底的に現場での実用性を追求しています。
【企業としての特徴】
価値観: 課題解決 、合理性、実力主義、現場第一。
組織風土: 質実剛健。派手さよりも、確実に成果を出すことを好む。
求める人材: 「何をするか(コト)」に重きを置く人。スキルを磨きたい、具体的な問題を解決したいという職人気質や実務家タイプ。
魅力: 圧倒的な「成長環境」や「手触り感」。自分がやった仕事が、社会の役に立っているという実感。
タイプB:スノーピーク型(The Snow Peak Way / 人生に野遊びを)
一方、スノーピークは単なる道具売りではありません。
「野遊び」というライフスタイルそのものを提案し、ユーザーとの強いコミュニティ(つながり)を重視しています。
製品は高価ですが、そこには高いデザイン性と、所有する喜び(情緒的価値)があります。
【企業としての特徴】
価値観: ビジョン共感、カルチャー、美意識、コミュニティ。
組織風土: 理念重視。社員同士の仲が良く、「誰とやるか(ヒト)」を大切にする。
求める人材: 世界観に共感し、その文化の一部になりたい人。ロイヤリティが高く、ブランドのファンになれるタイプ。
魅力: 「居場所」や「誇り」。かっこいい自分たち、イケてる組織の一員であるという帰属意識。
さて、あなたの会社はどちらに近いでしょうか?
あるいは、あなた自身(経営者や採用担当)の性格はどちらに近いでしょうか?
2.悲劇の「ブランド・カモフラージュ」 〜離職を生む最大の原因〜
ここで、離職率が高まる最大の原因についてお話しします。
それは、「中身はモンベルなのに、求人票ではスノーピークのふりをしている」というケースです。
これを仮に「ブランド・カモフラージュ」と呼ぶ事にしましょう。
よくある間違い:実直な会社が「キラキラ」してしまう
例えば、あなたの会社が、地道な顧客対応や、泥臭い改善活動(課題解決)こそが強みである「モンベル型」の組織だとします。
しかし、採用広報で「若手が活躍!おしゃれなオフィス!アットホームな仲間たち!」と、まるで「スノーピーク型」のようなキラキラしたアピールをしてしまったらどうなるでしょうか。
「スノーピーク型」の人材が入社する: 「かっこいい仕事ができそう」「楽しそう」という動機で入社します。
リアリティ・ショック: 現場に入ると、待っているのは地道な「機能の追求」や「課題解決」です。
「思っていたのと違う」「もっとクリエイティブなことがしたいのに」と不満を持ちます。
早期離職→ 「ここは私の居場所じゃない」と去っていきます。
逆もまた然りです。
ビジョンやカルチャーで動いている「スノーピーク型」の会社が、「給与条件」や「福利厚生」ばかりをアピールして(モンベル的な機能訴求)、条件だけで選ぶドライな人材を採用してしまえば、やはりミスマッチが起きます。
「良い人材」とは、絶対的な基準ではありません。
「自社のブランド人格(タイプ)に合った人材」のことです。
離職率を下げたいのなら、まずは「背伸び」をやめることです。
慎重で穏やかな社風なら、無理にテンションの高い求人を出す必要はありません。
「私たちは地味かもしれないが、確かな技術で社会を支えている(モンベル型)」と、堂々と宣言するほうが、実は遥かに「良い人材(=自社に合う人材)」に出会えるのです。
3.ロゴのデザインに込められた採用ブランディング
アウトドア系のロゴを深掘りすると、そこに「見せ方(広報)」のヒントがありました。
モンベルのロゴを見てください。
シンプルで、視認性が高く、山の形を模しています。
スノーピークのロゴは、雪の結晶(アスタリスク)を幾何学的に表現し、洗練されています。
コールマンのランタンマークは、歴史と温かみを感じさせます。
これを採用広報に応用してみましょう。
1. 「慎重・穏やか」な会社の見せ方(モンベル・コールマン路線)
もし、私たちが「慎重に物事を進め、一緒に作り上げていく」ことを大切にする組織なら、求人票や採用サイトのデザインも、それに合わせるべきです。
キャッチコピー: 「世界を変える!」といった大言壮語(スノーピーク的)ではなく、「お客様の『困った』を、一つずつ確実に解決する」といった、地に足のついた言葉を選ぶ。
写真: パーティーのような集合写真ではなく、社員が真剣な眼差しで議論している姿や、ホワイトボードに向かって「過程」を共有しているシーンを使う 。
デザイン・フォント: 流行りのスタイリッシュなものではなく、読みやすく、誠実さを感じるゴシック体や明朝体を選ぶ。
2. 「未完成」を愛する会社の見せ方(DIY・ガレージブランド路線)
「過程も大切」にし、「一緒に作り上げていきたい」と考えているあなた。
これは、大手ブランドというよりは、これから育っていく「ガレージブランド(新興アウトドアブランド)」に近いかもしれません。
完成された製品(会社)を売るのではなく、「開発中のプロトタイプ」を見せる勇気を持つことです。
「うちはまだ、人事制度も整っていません。教育体制も完璧ではありません。
でも、だからこそ、あなたと一緒にこの会社という『ギア』を作り上げたいのです」
こう伝えることで、「整った環境」を求める受け身な人材(お客様)ではなく、「自分で整えていきたい」という開拓者精神を持った人材(パートナー)を集めることができます。
これは、ある意味で「最強のフィルタリング」になります。
4.結論・自社だけの「ロゴ」を掲げよう
私たちは、スノーピークにはなれないかもしれません。
あんなに洗練されていないし、泥臭い仕事も多い。でも、それでいいのです。
雨風に耐え長く使え、ユーザー(顧客)から「これがあって助かった」と言われるモンベルのような存在。
それが私たちの「正体」であり、誇りです。
採用活動とは、化粧をして別人に成りすますことではありません。
「すっぴん」の自社の魅力を、一番伝わる言葉とデザインで表現することです。
もし今、採用広報で迷っているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
「私たちの会社をアウトドアブランドに例えるなら、どこだろう?」
機能美のモンベル?情緒のスノーピーク?伝統のコールマン?質実剛健なヘリーハンセン?
その答えが出たとき、あなたの書く求人票の言葉は変わり、集まってくる人材の顔つきも変わるはずです。
「うちの会社、なんか地味なんだよね」 そう言える頃のあなたの顔は、実は誰よりも自社への愛着(プライド)に満ちているはずです。
その愛着と同じ温度感を持つ仲間と出会うために。
さあ、私たちだけの「ロゴ(旗)」を、高く掲げましょう。
いかがでしたか?ロゴデザインと共に、ブランディングデザインにも興味がおありでしたら、ぜひ以下のリンクもご確認ください。









