この記事の目次
「会社を良くしたい」その想いが、なぜか空回りしてしまう時
会社の未来を考え、良かれと思って打ち出した新しい方針やデザイン。
「これで会社がもっと良くなるはずだ!」「社員の士気も上がるだろう!」―。
経営者なら誰しも、そんな熱い想いで改革に乗り出した経験が、一度はあるのではないでしょうか。
しかし、意気揚々と発表したにもかかわらず、社員たちの反応は薄く、「ポカン…」とした空気が流れる。お客様からは「前のほうが親しみがあって良かったのに」なんて言われてしまう…。良かれと思ってやったはずのことが、なぜか裏目に出てしまう、そんな切なく、そして少しやるせない経験はありませんか?
この記事では、特定の企業の輝かしい成功事例ではなく、多くの誠実な中小企業で「本当にあった」“残念なブランディング”の失敗あるあるを、未来への教訓としてご紹介します。
これらの失敗談は、決して他人事ではありません。
なぜ、社長の熱い想いが空回りしてしまったのか、その根本的な原因を一緒に紐解くことで、貴社が同じ轍を踏まず、真に成功するブランディングへの道を歩むための、大切なヒントが見つかるはずです。
あなたは大丈夫?中小企業“残念なブランディング”失敗あるある3選
ここでご紹介するのは、いずれも社長の「会社を良くしたい」という純粋な善意から始まっています。しかし、そこにはある決定的に重要な「プロセス」が欠けていたために、残念な結果を招いてしまいました。
失敗あるある1:「社長の鶴の一声」でロゴ変更、現場はポカン…
【ストーリー】
ある日、社長が経営者セミナーで「これからの時代はミニマルデザインだ!」と感銘を受け、ひらめきました。早速、付き合いのあるデザイナーに個人的に依頼し、モダンでシャープな、格好良い新しいロゴを独断で作成。完成したロゴに満足した社長は、週明けの朝礼で「時代の変化に対応するため、今日からうちのロゴはこれだ!」と、プロジェクターに映して意気揚々と発表しました。しかし、社員たちの反応は、拍手喝采ではなく、戸惑いの表情と沈黙でした…。
【なぜ失敗したのか?】
- 現場の不在
ロゴに込められた意味やストーリー、そして「なぜ今、ロゴを変更する必要があったのか」という最も重要な背景が、社員に全く共有されていませんでした。社員にとって、それはまさに青天の霹靂でした。 - 愛着の喪失
社員にとって、長年親しんだ(たとえ古くさくても)ロゴは、会社の歴史や自分たちの汗と涙の象徴です。それが、何の説明もなく、一方的に新しいものに変えられたことで、「自分たちの想いは無視された」「私たちはただの駒なのか」という疎外感と、会社への愛着の喪失に繋がってしまったのです。
【教訓】
ロゴは会社の「旗印」です。その旗を新しくするプロセスに、旗を振るべき社員を巻き込まなければ、誰もその旗を、誇りを持って振ろうとはしません。
失敗あるある2:「見た目だけ立派」で、魂がこもっていないウェブサイト
【ストーリー】
最近伸びてきた競合他社のウェブサイトが、デザイン的にお洒落で洗練されていたため、「うちも負けていられない!」と対抗意識を燃やした社長。多額の予算を投じてウェブ制作会社に依頼し、最新のトレンドをふんだんに取り入れた、見た目だけは非常に立派なウェブサイトにリニューアルしました。しかし、数ヶ月経っても、問い合わせ数は以前と変わらず、むしろ減ってしまったような気さえします。
【なぜ失敗したのか?】
- 「らしさ」の欠如
見た目は綺麗でも、その会社ならではの「技術へのこだわり」「お客様への誠実な姿勢」「社員の温かい人柄」といった“魂”の部分が全く表現されておらず、どこにでもあるような、無機質で、誰の心にも響かないサイトになってしまったのです。 - 顧客視点の欠如
「キレイにすること」が目的になってしまったため、お客様が本当に知りたい情報(具体的な導入事例、手厚いサポート体制の詳細、料金体系の分かりやすさなど)が後回しにされ、結局お客様の課題解決には繋がらない、自己満足なサイトになってしまいました。
【教訓】
ウェブサイトは、企業の「魂」を宿すための「体」です。魂(=企業の理念や本質的な価値)を定義しないまま体だけを最新ファッションで着飾っても、人の心は動かせません。
失敗あるある3:「壁に貼られただけ」の新しい企業理念
【ストーリー】
社長が役員陣と共に経営合宿を行い、数日間かけて「挑戦!成長!顧客第一!」「私たちはプロフェッショナル集団として、最高の価値を提供する!」といった、非常に立派な企業理念(スローガン)を策定。
早速、格好良いデザインのポスターにして社内の壁に貼り出し、全社メールで「今期から、この理念の下で一致団結しよう!」と通知しました。しかし、社員たちの日常業務は、何も変わりませんでした。
【なぜ失敗したのか?】
- 行動との乖離
理念は立派でも、それを具体的に日々の業務でどう体現するのか(行動指針)が示されず、また、その理念に沿った行動を評価する制度や、業務プロセスも全く変わらなかったため、理念と現実が乖離してしまいました。 - 他人事化
策定プロセスに全く関わっていない社員から見れば、「また社長や役員が何か言ってるな」という程度で、自分たちの仕事とは全く関係のない、ただの「壁の飾り」になってしまったのです。
【教訓】
企業理念は、「行動」に翻訳されて初めて意味を持ちます。社員が「これは、自分たちの約束事だ」と心から納得し、日々の業務で実践できる仕組み作りがなければ、ただの綺麗事で終わってしまいます。
なぜ、良かれと思ったブランディングが失敗するのか?その根本原因
これらの“残念なブランディング”には、共通する3つの根本的な原因が潜んでいます。
原因1:『プロセス』を軽視し、『結果』だけを求めている
失敗するケースのほとんどは、企業の「らしさ」とは何か、自分たちはどこへ向かうべきなのか、といった本質を、社員や顧客を巻き込みながら深く掘り下げるという、最も重要で時間のかかる『プロセス』を軽視し、ロゴやウェブサイトといった目に見える『結果(アウトプット)』だけを急いで手に入れようとしています。土台作りをせずに、いきなり立派な家を建てようとしているようなものです。
原因2:社員を『巻き込む』のではなく、『他人事』にしている
ブランディングは、決して経営者だけのものではありません。日々、お客様と接し、製品やサービスを生み出し、会社のブランドを体現しているのは、現場の社員一人ひとりです。
その最も重要な当事者である社員をプロセスに巻き込まず、トップダウンで一方的に進めてしまうと、社員の中に当事者意識は生まれず、どんなに立派な理念やデザインも、自分たちとは関係のない「他人事」になってしまいます。
原因3:『見た目』と『中身』が一致していない
会社の「中身(=企業の理念や企業文化、実際に提供している価値)」と、「見た目(=ロゴやウェブサイトなどのデザイン、発信するメッセージ)」に一貫性がないため、お客様や求職者にちぐはぐな印象を与え、かえって信頼を損ねてしまっています。言っていることと、やっていること、そして見せていることが一致して初めて、本物の信頼が生まれるのです。
失敗しないブランディングとは、「プロセス」そのものである
ご覧いただいたように、成功するブランディングと失敗するブランディングの決定的な違いは、最終的なデザインの良し悪しや、理念の言葉の美しさ以前に、「いかに丁寧で、本質的で、そして多くの人を巻き込んだ『プロセス』を踏んだか」という点にあります。
会社の「顔」であるロゴや、「魂」である理念を変えることは、会社の未来そのものを左右する、非常に大きな経営判断です。その大切な決断を、「社長の鶴の一声」や、その場の「思いつき」で進めてしまう前に、一度立ち止まってみませんか?
もし、あなたが「もう二度と失敗しない、本質的なブランディング」を求めているのであれば、ぜひ一度私たち株式会社DIANTにご相談ください。
私たちの伴走型ブランディングサービス『Tsumugi』は、まさに今回ご紹介したような失敗を避け、成功へと導くために、徹底的にこだわり抜いて設計された「プロセス」そのものです。お客様との対話、そして社員の皆様を巻き込んだワークショップを通じて、貴社だけの「魂」を丁寧に掘り起こし、それを社内外に力強く伝わる「カタチ」へと、共に創り上げていきます。
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