ブランディングをはじめてみていつのまにか共通認識の意識から外れてしまい忘れ去られてしまう。
そんな一時の施策にしてしまうのはとてももったいないことです。ブランディングを成功に収めるには、社内で一丸となって取り組む必要性があります。
ブランディングを成功に収めるにはブランディングを社内共通のプロジェクト化をし、それぞれの部署による役割が必要となります。
今回はブランディングのプロジェクト化と部署ごとの役割付けについてお話をしてまいります。
プロジェクト化が必要な理由
ブランディングを実際に始めてみると分かるかと思いますが、ブランディングというもの自体が抽象的にとらえられがちになってしまい、実務に上手く落とし込めなかったり、継続して施策ができなかったりなど色々な障壁にぶつかるかと思います。
ブランディングの特性とあわせてプロジェクト化が必要な理由を挙げていきます。
差積化は時間がかかるもの
ブランディングは差別化と違い、差積化をされていき、時間とともに効果が発揮されていく特徴があります。
差別化は時間と共に競合や大手企業に模倣されてしまいますが、差積化は時間がかかる分、真似されにくさが特徴としてあります。
差積化について詳しくは、「もう真似されない!差別化を差別化する差積化とは」をご覧ください。
抽象的になりやすい
ブランドは顧客の頭の中に存在する為、イメージ付けをしなければならない。
多くの顧客の頭にイメージを定着させていく為に、実務にブランディングを落とし込む必要がありますが、抽象的なイメージが先行してしまい実務に落とし込みにくいという意見をよく耳にします。
ですのでブランディングを始める前には、企業理念やコンセプトを業界や自社分析を元に基本的な軸を実務に落とし込んでいく必要があります。
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分析を元に、企業理念やコンセプトの落とし込みをしていきましょう。
企業理念の作り方についてはこちらを参考にしてみてください。「売上アップと社会貢献のための魅せる経営理念とは」
各部署のマインドを統一させる。
ブランディングは誰か一人が施策を行い、達成されるものではありません。
会社全体が軸となり、目的のブランド化へと推し進めなければなりません。
例え小さな部署であっても、雑務を行う人であっても企業理念やコンセプトに沿って業務を行う必要があります。
その積み重ねが、外から見ても内から見ても差異のない共通したブランド化へと進化していきます。
ブランディングは顧客・社員・求職者など様々な状況の人に対して効果を発揮するものです。
数値化が難しい
ブランディングは特性上、数値化が難しいものです。
しかしビジネスをする以上数値化ができなければ、継続するべきかどうかの判断も難しくなります。
上手くいっているブランディングは時間の経過とともに時間や労力、価格などのコストが軽減されていくものです。
ブランディングを始める前の顧客一人当たりの獲得コストやLVT(顧客生涯価値)を数値化していきましょう。
この数値化に対して、ブランディング活動開始後のコストなどを定期的に数値化し各部署で何が必要か、何がよくないのかをディスカッションしていく必要があります。
数値化できるものは出来るだけ多く数値化し、今後のブランディング活動のものさしとしてストックしていく事をおすすめします。
4軸8視点でプロジェクト化をしよう。
ブランディングをプロジェクト化する必要性はお分かりいただけたと思います。
プロジェクト化を進める上で、会社全体でブランディングをするためにそれぞれの役割を4軸8視点で考えてみましょう。
まずはブランディングに必要なブランディング主務軸、商品提供価値軸、コンテンツ提供価値軸、リレーション提供価値軸の四つの軸を用意します。
それぞれの軸には各2つづつの視点が必要です。
- ブランディング主務軸には、ビジネス視点・プロジェクト視点
- 商品提供価値軸には、商品シーズ視点、商品ニーズ視点
- コンテンツ提供価値軸には、メディア視点・クリエイティブ視点
- リレーション提供価値軸には、トライアル視点・リピート視点
軸と視点を組み合わせると以下の図のようになります。
各担当のリーダーが各視点の担当者となり、ブランディング活動を共有化し進めていきましょう。
そして定期的に各視点の担当者はブランディングに関してのミーティングを行いブランディング戦略を練る必要があります。
各視点それぞれに人を配置する必要はありません。2~3人が各視点を分担し、進めてもかまいません。
それぞれの視点の意識を持つことが大切です。
それでは各視点の特徴を解説して参ります。
ビジネス視点
この視点の人は経営者やブランディングプロジェクトの発案者などが該当し、ブランド自体がビジネスにどう還元していくのかについて考える視点です。
プロジェクト視点
ブランディングの担当者が該当します。ブランディングのプロジェクト自体を促進する役割を持つ視点です。
商品シーズ視点
仕入や生産・商品開発などを担当する人が該当します。商品やサービス、会社や店舗のシーズの部分ですので言い換えれば商品提供価値を創り出す部分です。
商品提供価値の大小によりブランディングの成否も左右します。
ブランディングはそもそも売れない商品や需要がない商品を無理やり売る施策ではありませんので、ブランディングのベースの部分と言えます。
※シーズとは企業や店舗が新しく開発、提供する技術や材料。ビジネスの種ともいわれる。
商品ニーズ視点
リサーチやお客様窓口などを担当する人が該当します。商品やサービスに対しお客様がどう感じているのかどこに不満を感じているのかなど顧客のニーズに精通している部署なので、顧客の意見や行動からブランディングのヒントを獲得する必要があります。
クリエイティブ視点
デザインやコピーなどを担当するクリエイティブな人が該当します。デザイナーやクリエイティブな仕事に注力できない場合、社外のデザイン会社に参画してもらう事をおすすめします。
コンテンツ提供価値をいかに伝えるのかという部分に注力しますので、コンテンツの完成度が重要となります。
8方向のアイデアで見ると、「逸話」「情景」「証明」「提案」に関するコンテンツを創り出す部分です。
参考にしたいコンテンツ:【保存版】ブランド価値を創り出す8つのアイデア創造方法
メディア視点
ノベルティや広報、日頃から社内のホームページを更新を担当する人が該当します。
自社ホームページでブランディングやコンテンツマーケティングの施策(オウンドメディア)や広告などのコストがかかる媒体(ペイドメディア)、顧客側からのレビューやブログなどの媒体(アーンドメディア)とメディアにも多岐にわたりますが、基本的にはオウンドメディアなどの自社発信の情報をブランディングしていきます。
8方向のアイデアで見ると、「逸話」「情景」「証明」「提案」に関するコンテンツを伝える部分です。
参考にしたいコンテンツ:【保存版】ブランド価値を創り出す8つのアイデア創造方法
トライアル視点
販売や接客を担当している人が該当します。リレーション提供価値軸に位置しており、顧客との関係を通じてブランド価値を高めていく役割を担います。
ブランドとの原体験を提供する部分でありますので、いかに価値ピークを大きくできるのか左右する重要なポジションです。
8方向のアイデアで見ると、「応接」「仲間」「共創」「社会」に関するコンテンツを創り出す部分です。
参考にしたいコンテンツ:【保存版】ブランド価値を創り出す8つのアイデア創造方法
リピート視点
アフターフォローやリピーターと関係を持つ人が該当します。
顧客との関係を構築する場を提供していきます。(コミュニティサイトの運営など)
価値ピークを迎えた現在顧客がいかにしてリピートが続くようにすべきか考えていかなければなりません。
プロジェクト化への注意点
ブランディングをプロジェクト化する上でそれぞれ注意する点があります。
それらを4つのポイントに分けて解説をしてまいります。
各視点と業務を落とし込む
先ほど解説いたしました、4軸8視点と実務を担っている特長を上手く組み合わせる必要があります。
誰か1人や社内の一部で進めると偏ったブランディングとなってしまい、改善点にも気が付かず上手くいきませんので注意しましょう。
すべて社内で内製しなければならないわけではない
餅は餅屋という言葉がある様に、すべてを社内で内製化する必要はありません。
ブランディングのプロジェクトチームは業務に合わせ、ブランディングに注力できる人が理想です。
デザインやHTMLやCSSなどの言語知識がある人の様な特殊な技術を持った人もチーム内に置く必要性があります。
ですので、デザイン会社や制作会社をプロジェクトのチームの一人に加える事も視野に入れておきましょう。
多くのディスカッションを行いアイデアを出し合う
ブランディングプロジェクト発案段階からできる限り密にディスカッションを行うようにしましょう。
それぞれの担当者が日頃の業務で感じたことなどの意見を出し合い、ブランド化に対して多くのアイデアを出し合うような環境づくりを目指しましょう
企画書にしっかりと落とし込む
プロジェクトスタート段階で全てのスタッフがブランディングに対して興味・関心を持っているわけではありません。
さらにブランディングに対しての知識もまちまちです。
ですので、何故ブランディングが必要なのか、ブランディングを実務に落とし込むにはどのような事が必要なのかについてしっかりとプレゼンテーションを行えるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回のコンテンツのまとめは以下になります。
プロジェクト化が必要な理由
- ブランディングは継続した活動が必要なのでプロジェクト化が必要
- ブランディングは会社全体で行うので各スタッフの理解と協力が必要
- 抽象的になりがちなので実務に落とし込みそれぞれの理解を深めていく必要がある
- 一つのコンセプトに対し各業務で体現していくブランディングは、まとまりが必要
- ビジネスをする上で数値化が重要。各部署での数値をブランディングにも反映し評価判断を行う必要がある
プロジェクト化の注意点
- 4軸8視点をベースに各業務へと落とし込もう
- 全てのブランディング活動を内製化する必要はない
- 密にディスカッションを行いアイデアを沢山出し合おう
- 社内全体で行うので企画書を作りプレゼンテーションをしよう。