消費者が商品やサービスの存在を知り、購入に至るまでの行動心理プロセスがある事をご存知でしょうか。
この行動心理プロセスに合わせた施策を企業や店舗は行っていかなければなりません。
今回はそんな行動プロセスの基礎と実務への応用について解説をしていきたいと思います。
代表的なプロセス「AIDMA」とそれぞれのプロセス
行動心理プロセスの代表的なプロセスは「AIDMA(アイドマ)」と呼ばれるものです。
アイドマの法則と言われ行動心理プロセスの中でも有名なプロセスです。
消費者が広告を見て購入するまでのプロセスを1920年代にアメリカのサミュエルローランドホールさんが提唱した心理プロセスを指します。
それぞれの項目について解説をしていきます。
- Attention-注目する。 看板やチラシなどの広告を見て消費者は注目します。
- Interrest-興味を持つ。 広告を見た消費者がその内容に興味を持ちます。
- Desire-欲求。 興味を持ったのちその商品やサービスに対して欲求が芽生えます。
- Memory-記憶。 「欲しい!」と思い、それを記憶します。
- Action-行動。 購入やサービスの利用などの行動に移ります。
5つの項目は認知・感情・行動と三つの段階に区分けすることができます。
基本的な心理プロセスはAIDMA(アイドマ)がベースとなりますが、1920年代から100年近く時代が進んでいますので、これに応用が必要となっていきます。
現代社会に適合した「AISAS(アイサス)」
AISAS(アイサス)は電通社が2004年に商標登録をした行動心理プロセス用語です。
このAISAS(アイサス)の登場の一番の要因はインターネットの普及です。
インターネットやスマートフォンの普及により私たちの生活は大きく変化していきました。
それぞれの項目について解説をしていきます。
- Attention-注目する。 看板やチラシの他にマスメディアやインターネットも広告の対象となります。
- Interrest-興味を持つ。 上記いずれかの広告などで興味を持ちます。
- Search-検索する。 興味を持った対象を検索します。
- Action-行動。 購入やサービスの利用などの行動に移ります。
- Share-情報共有。 SNSなどで情報を共有します。
ここで注目したいのがAttention-注目する。Search-検索する。Share-情報共有。の3つの項目です。
マスメディアなどに加えてインターネットやスマートフォンの普及により、消費者は興味を持ったものをインターネットで検索し情報収集を行い、使用後の感想などを共有するようになりました。
情報共有により新たな「Attention-注目する。」が生まれ新たなAISASプロセスが誕生していきます。
AISAS(アイサス)の段階の区分けは以下の通りです。
AIDMAとAISASの違い
AIDAMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)はどう違うのでしょうか。
AIDAMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)は感情・行動段階が異なります。
AIDAMA(アイドマ)は感情段階が多いのに対してAISAS(アイサス)は行動段階が多くあります。
インターネットやスマートフォンのおかげで消費者は行動しやすくなりました。
良くも悪くも多くの人と情報共有ができるようになったので、良い評判も悪い評判も広まりやすくなっています。
消費者は受動的でしか居られませんでしたが、気軽に情報発信ができるようになり、より能動的に情報を発信したり情報を収集することができるようになりました。
個人レベルで商品やサービスを評価し、それらが情報となり、次の顧客へと繋いでいくプロセスが誕生しています。
インターネットと口コミの相性
インターネット誕生前の口コミは特定の人や自身の周りの人だけに制限されるものでしたが、インターネットを介した口コミは、24時間365日世界中の人がその口コミを確認することができます。
一消費者の小さな声がインターネットを介し大きな影響力へと変化していきます。
インターネット上で求心力のあるブロガーさんなどの口コミの効果は絶大で、大きなバイラルへと進化します。
この様な口コミを利用したマーケティング手法を「バイラルマーケティング」と言います。
ネットの口コミからの行動心理プロセス「VISAS(ヴィサス)」
VISAS(ヴィサス)は2010年にITアナリストの大川隆志氏が提唱した行動プロセスです。
インターネットの普及とともに口コミは一つの集客手段として台頭してきました。
その影響力の高さからVISAS(ヴィサス)は誕生したと言えます。
それぞれの項目について解説をしていきます。
- Viral-口コミ インターネットなどから口コミを見て認知をします。
- Inflience-影響される。 口コミをしている人に対して影響を受けます。
- Sympathy-共感する。 口コミとその人物を加味して共感をします。
- Action-行動。 購入やサービスの利用などの行動に移ります。
- Share-情報共有。 SNSなどで情報を共有します。
先ほど解説をしましたAISASでは、興味を持ち能動的に検索をしていましたが、VISASでは、興味や検索などの能動的なプロセスがなく口コミによる評価とその口コミをしている人物の影響力により購買などの行動に移っているところが特徴です。
さらには顕在的な欲求ではなく潜在的な欲求を呼び出す力がVISASにはあります。
口コミをしている人物の影響力の他に、数による評価も影響力となります。
例えば100人中90人が星5(星1~5)と評価しました。という評価を見たときにあなたをどう感じるでしょうか。
顔も知らない多くの一般ユーザーが評価をしていることで公平性を感じ、購入の後押しとなるケースも多くあります。
より進化を遂げた「Dual AISAS(デュアルアイサス)」
一次元の動きしかなかった行動心理プロセスが二次元的な動きに拡大されたのがDual AISAS(デュアルアイサス)です。
Dual AISAS(デュアルアイサス)は2015年にデジタルマーケティング企業のアタラ合同会社と電通プロモーション・デザイン局の協力の元誕生した開発された行動心理プロセスです。
消費者が購入するまでのプロセスを明文化したAISAS(アイサス)に対して、Dual AISASは、認知やブランドを広める活動を加えたものになります。
それぞれの項目について解説をしていきます。
- Activate-活性化する。 ブランド化を行い商品やサービスに関心を持たせる。
1 Interrest-興味を持つ。 ブランドを認知し、興味を持つ。
2 Share-情報共有。 ブランドの情報を共有し、情報を広める。
3 Accept-共鳴・共感。 共有された情報を受け取り、さらに多くの人が共鳴・共感をする。
4 Spread-拡散する。 情報を受け取った第三者がさらに拡散を行う。
- Interrest-興味を持つ。 活性化により興味を持ちます。
- Search-検索する。 興味を持った対象を検索します。
- Action-行動。 購入やサービスの利用などの行動に移ります。
- Share-情報共有。 SNSなどで情報を共有し、Activate-活性化につながります。
Dual AISASが誕生した背景として多くの人がスマートフォンを持ち今まで以上に多くの情報に触れるようになりました。
情報過多により消費者は情報を上手に選別することが求められてきています。
今までは広告などで集客はまかなえていましたが多くの情報にふれる機会の増えた消費者は広告や営業の見方を変え、実体験に則した評価や自身にとって本当に価値があるものを求める傾向にあります。
不特定多数をターゲットとした大衆化したキャッチフレーズや広告は消費者の心には届かなくなりつつあります。
Activate-活性化するには?
活性化させるにはコンテンツマーケティングやブランディングなどの施策が必要となります。
企業や店舗、商品やサービスなどの特徴や良さを最大限引き出し新たなポジショニングを行う必要があります。
それらを進める上でより質の良い情報(コンテンツ)を提供しブランドとしての認知をより強固なものへとしていかなければなりません。
コンテンツマーケティングについてはこちらの記事を参考にしてください。
ネットマーケティングは時代の変化と共に変化を遂げています。
コストをかけずに集客するコンテンツマーケティングはネットマーケティングには最適な施策です。
ブランディングについてはこちらの記事を参考にしてください。
商品の魅力をより引き出したい人、会社の価値をより大きく広げたいと考えている人、はたまた学校で人気者になりたい人もみんなブランディングが必要となります。
ブランドは消費者に好きになってもらうための施策を指します。そんなブランディングの方法や概要について解説をしてまいります。
行動プロセスと時代の変移
これまでご紹介してきた4つの行動心理プロセスは時代とともに誕生してきました。
1920年代 | マスメディア主流 | AIDMA(アイドマ) |
2004年頃 | インターネット検索台頭 | AISAS(アイサス) |
2010年頃 | SNS需要拡大 | VISAS(ヴィサス) |
2015年頃 | コンテンツ重視 | Dual AISAS(デュアルアイサス) |
この他にも行動心理プロセスはありますが、時代変移と重要な行動プロセスは上記4つをおさえることで理解できると思います。
今までの変移と行動プロセスをたどりこれからの時代に向けてできる事を考えてみましょう。
Dual AISASで考える自社ブランディング
Dual AISASに自社を当てはめてできる事について考えてみましょう。
Activate-活性化する。
活性化をはじめるには以下の準備が必要になります。
- ブランディング開始までの下準備(コンセプトの確立やターゲティング、ブランディング設計など)
- コンテンツ作成・公開(コンテンツマーケティングに基づいた設計)
- 拡散環境の整備(Facebookやtwitterなどのアカウント取得)
- ユーザーとの関係構築
- 社内運用の為のスタッフ確保と理解の促進
上記5つの準備を行い少しづつ積み上げていく必要があります。
共有・共鳴してもらうコツ
商品やサービスを利用する消費者はどんな情報を欲しているでしょうか。
さらに共有したくなる(周りに教えたくなる)ような情報とはどんな情報でしょうか。
コンテンツとなるヒントは身近なところに隠されています。
社内にとっては当たり前の事でも消費者にとっては新鮮で魅力ある情報は沢山あります。
Interrest-興味を持つ。
ブランドの情報を拡散し、興味を持ってもらいます。ブランドの内容によっては高級感あふれる内容にしたり、ユニークな動画を製作して消費者に見てもらうなど様々な施策を打ち出すことができます。
Search-検索する。
ブランドの第一目標は「○○(カテゴリ名)と言えば○○(ブランド名)」となる事です。
例えばラーメンと言えば○○屋といったような具合です。
「ラーメン食べたいなぁ」と思った時に第一候補に浮かぶブランド作りが必要となります。
第一候補に浮かぶようブランディングを行い、ユーザーに検索してもらえるようにします。
検索時の注意点
検索した先に自社の情報が出てこなければ意味がありません。
先ほどの例で挙げると「地域名+ラーメン」等で検索した際に上位に上がるよう施策をしなければなりません。
ブランド価値と検索ワードを一致させ導線をきちんと用意しておく必要があります。
Action-行動。
興味、検索を経て実際の購買や資料請求のステージへとやってきました。
この時のポイントとしては最高の体験をしてもらうことです。
消費者とのファーストコンタクトが重要です。
はじめの体験が次につながるか、リピートしてもらえるのかなど一番の判断材料となります。
Share-情報共有。
良い体験をした後はその体験を共有してもらえるよう促していきましょう。
SNSなどの共有しやすいような試みが必要となっていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回のコンテンツのまとめは以下の通りです。
- 時代の変移と共に行動心理プロセスも変化している。
- インターネットやスマートフォンの流行により消費者の選択肢も多様化している。
- 情報過多の時代。消費者は今までの広告では心が動きにくくなっている。
- 消費者とブランドとの初めての体験が重要。
- 継続した顧客獲得はブランディングが必要となっている。
- 質の良いコンテンツは顧客をファンに変える。