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たかがフォント、されどフォント。企業の“声”になる。お客様との心の距離を縮めるフォントの話

この記事の目次

「もし、企業のウェブサイトやパンフレットが話しかけてくるとしたら、どんな“声”が聞こえてくるでしょうか?」

唐突な質問に驚かれたかもしれません。しかし、私たち株式会社DIANTは、デザインをお手伝いする際に、常にお客様とその先にいる顧客との「対話」をイメージしています。その対話において、企業の「声色」や「話し方」を大きく左右するのが、今回お話しする「フォント」の存在です。

日々の業務に追われる中で、「フォントなんて気にしたことがない」と感じる経営者の方も少なくないでしょう。しかし、こんなお悩みはありませんか?

  • 「提供しているサービスには自信があるのに、なぜか安っぽく見えてしまう…」
  • 「誠実な仕事を心がけているのに、ウェブサイトの印象が軽々しく伝わっている気がする…」
  • 「社員の想いを込めて作った会社案内が、どうもお客様に響いていないようだ…」

その、言葉にしにくい「なぜか伝わらない」という感覚。もしかしたら、お客様が毎日無意識に目にしているフォントが、その原因の一つになっているのかもしれません。この記事が、自社の「声」を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

フォントは「無意識のメッセージ」与える印象はこんなに違う

私たちは日々、意識することなく大量の文字情報に触れています。その中で、文字の「意味」だけでなく、その「見た目」からも無意識に多くのメッセージを受け取っています。

例えば、想像してみてください。

あなたが法律や税務に関する真剣な相談をしようと、ある士業のウェブサイトを開いたとします。そこに書かれている内容が確かだとしても、もし使われているフォントがポップで可愛らしい丸文字だったら、どう感じるでしょうか?「本当に専門家だろうか?」と、少し不安な気持ちになるかもしれません。

逆に、大切な記念日のディナーのために予約した高級レストラン。送られてきた案内状が、まるで役所からのお知らせのような、飾り気のない事務的なゴシック体で書かれていたら、特別な時間への期待感が少し薄れてしまうかもしれません。

このように、フォントはそれ自体が強力なメッセージを持っています。

明朝体

線の抑揚が美しく、伝統的、誠実、知的、高級といった印象を与えます。信頼性が求められる企業のコーポレートサイトや、歴史あるブランドの紹介文などによく使われます。

ゴシック体

線の太さが均一で、力強く、モダン、安定的、はっきりとした印象を与えます。視認性が高いため、見出しや案内表示、ウェブサイトの本文など幅広く活用されます。

丸ゴシック体

角が丸く、親しみやすい、優しい、柔らかいといった印象を与えます。お客様に安心感を与えたいサービスや、子ども向けの製品紹介などで効果的です。

企業の「顔」となる、ロゴデザインとフォントの関係

フォントが企業の「声」であるとすれば、その声が最も象徴的に表れる場所の一つが、企業の「顔」であるロゴデザインです。

多くの企業ロゴは、図形や絵柄で構成される「シンボルマーク」と、社名などの文字で構成される「ロゴタイプ」から成り立っています。そして、この「ロゴタイプ」にどのフォントを選ぶかによって、お客様が会社に抱く第一印象は劇的に変わるのです。

ここでは、代表的なフォントの種類がロゴデザインにおいてどのような印象を与えるかを見ていきましょう。

Futura

Futuraは、機能美を追求した幾何学的な造形が特徴の書体です。そのデザインは円と直線を基本として構成されています。

幾何学的でありながらも一文字ずつ微調整が施されているため、高い可読性も実現しています。特に、正円に近い「O」や幅の狭い「S」「E」のフォルムは、古代ローマの碑文に見られる文字のプロポーションとよく似ており、Futuraに格調高い高級感と王道感を与えています。

その一方で、碑文の古典的なプロポーションを持ちながら、装飾のないフラットなサンセリフ体であるため、モダンで現代的な印象も醸し出します。

このように、伝統的な気品と現代的な雰囲気を両立できることから、ファッションや自動車、飲食業界をはじめ、様々な分野のロゴデザインに採用されています。

Helvetica

Helveticaは、簡潔で主張しすぎないデザインにより、非常に汎用性が高いことが特徴の書体です。その汎用性の高さから世界中で愛用されており、「世界で最も愛されている書体」と評されることもあります。

際立った個性が少ない分、まるで無色透明の水のように、どのような企業やサービスのイメージにも自然に溶け込みます。この特性から、企業のコーポレートフォントとしても頻繁に採用されています。ロゴには別の特徴的な書体を使いつつも、ウェブサイトの本文や各種資料など、テキストの基本書体としてHelveticaが使われているケースは少なくありません。

また、Helveticaは私たちの身近な環境にも広く普及しています。macOSには改良版である「Helvetica Neue」が、Windowsには代替書体として知られる「Arial」が標準搭載されています。多くの人が日常的に使うデバイスを通じて、Helveticaはデザインの世界だけでなく、社会に深く浸透している書体と言えるでしょう。

Optima

Optimaは、古代ローマの碑文に見られるような、格調高いプロポーションを持つ書体です。サンセリフ体でありながら、古典的で優美な造形が特徴で、「セリフのないローマン体」とも呼ばれています。その気品ある佇まいは、エレガントさや高級感を演出したいデザインに適しています。

また、ディテールにも古典的な影響が見られ、例えば大文字のMは裾が緩やかに広がっており、女性的で華奢な印象を与えます。こうした特徴から、シンプルな中に優美さや女性らしさを表現したい場合に最適で、女性向けアパレルブランドのロゴなどにも多く採用されています。

さらに、落ち着いた雰囲気と高い可読性を両立しているため、見出しやロゴはもちろん、長文の本文にも使える汎用性の高い書体です。

このように、ロゴにおけるフォント選びは、単なる見た目のデザイン作業ではありません。それは、お客様の事業への「想い」や「らしさ」を社会に約束する、いわば「価値の旗」を立てるための設計そのものです 。

「伝わる」デザインの第一歩は、足元から

今回は「フォント」という、デザインの中でも非常に基礎的で、しかし奥深いテーマについてお話ししました。

たかがフォント、されどフォント。
フォント一つを変えるだけで、会社の印象が劇的に変わることがあります。それは、フォントが企業の「人格」や「価値観」を代弁する“声”だからです。

「自社のフォントがどうなっているか、少し気になってきた」と感じていただけたなら、ぜひ一度、簡単なセルフチェックをしてみてください。専門的な知識は必要ありません。お客様の視点に立って、ご自身の会社のウェブサイトや名刺、パンフレットなどを眺めてみましょう。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。
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