ブランディングはいつでも始められる施策ではありますが、適切なタイミングもあります。
ブランディング活動を最大限効果的にさせるにはその開始時期やタイミングも重要です。
ではどのタイミングが良いのかというとそれは対象や状況によって異なります。
今回はブランディングスタートのタイミングについてお話をしてまいります。
ブランディングスタート前の準備
ブランディングを開始するには、ブランディングを行う対象の準備が必要となります。
ブランディングスタート前の準備フローチャートは以下の通りです。
分析をしよう
自社を含めた業界内の状況や世間の状況、業界内の自社のポジショニングなど様々な視点からマクロ・ミクロで分析を行う必要があります。
◎おすすめの分析シート
・【テンプレート付】脅威を減らして機会を増やすSWOT分析
今後の方向性や自社の機会や脅威の分析におすすめ!
・【テンプレート付】3つの環境から自社を見つめる3C分析
3つの視点から自社の状況を見極める分析におすすめ!
・【テンプレート付】世の中の変化を自社の変化にPEST分析
世の中の情勢の変化から自社の影響を分析するときにおすすめ!
・【テンプレート付】STP分析から個性を引き出すブランドパーソナリティの作り方
自社の業界内のポジショニングを明確にするときにおすすめ!
上記の分析を進め、自社の状況やブランディングを行う対象である商品・サービスについて第三者目線で分析を行います。
ブランディングに必要な3つの柱
分析の後にブランディングに必要な3つの柱を策定します。
ブランドパートナー、ブランドストーリー、ブランドパーソナリティを設定しましょう。
◎ブランディングに必要な3つの柱
・自社ブランドを支持する愛すべきブランドパートナーの作り方
対象のブランドを圧倒的に支持してくれるお客様を設定しましょう
・愛されるものには物語がある。ブランドストーリーの作り方
物語により共感を呼ぶブランドストーリーを設定しましょう
・【テンプレート付】STP分析から個性を引き出すブランドパーソナリティの作り方
ブランディングをする際のポジショニングはどこにすべきか設定しましょう
ブランディングの進め方の理解
ブランディングを戦略として進めていくには、絆と評判、全体像を理解しておく必要があります。
これらの準備・理解が進んでからブランディング開始となります。
見切り発車や思い付きで施策をするのではなく必ず全体像を見据えてから施策にとりかかるようにしましょう。
ブランド化を進める順番
ブランディングをする際に「企業をブランド化すべきか、商品をブランド化すべきか分からない」といった質問をされるときがあります。
この問いに対して何が最適なのかを考えてみましょう。
最終的にブランディングは、企業も商品・サービスどちらも行う事になります。ですが扱う商材などによりその順番の適正は異なります。
商品・サービスのブランド化
商品やサービスをブランド化する場合、継続的な利用が見込める業種などを指します。(例:調味料、洗剤など)
これらのものは繰り返し購入し使用します。
「この洗剤○○は油汚れがよく落ちる!」など社名よりも商品名・サービス名が先に印象付けられます。
企業のブランド化
企業のブランド化の場合、その逆である継続的な利用が見込めない商材を扱っている業種に向いています。(例:家、家電、車)
特に家は継続利用は見込むことは難しいです。「この家住み心地が良いからもう一軒買おう!」なんて人は少ないはずです。
車や信用度が重要である保険業やB2Bビジネスなどもこちらのグループに入ります。
いずれも企業ブランドにより商品・サービスが選ばれる事もあれば、商品ブランドにより企業が支持されるどちらの方向性からもブランディングは機能しますので自社の特性に合った試作を行いやすい方から始めてよいでしょう。
製品ライフサイクル理論(PLC)を理解しよう
製品ライフサイクル理論(PLC)はProduct Life Cycleの略称で、商品寿命を導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのステージで区分した理論を指します。
PLCを理解することでブランディングをするべきタイミングがより明確になります。
ブランディングをいかに優秀に行ったとしても衰退期から始めてしまっては効果が見込めません。
導入期
導入期では、認知度が低く、需要も多く発生していない状況。
製品の認知度や需要を高める必要性があります。またその製品の機能・性能を理解してもらい、利用イメージや利用後のメリットなどを理解してもらう必要があります。
成長期
認知度・需要が高まり市場からの参入を増える段階。
競合に負けないよう自社のポジショニングを行い、市場での確固たる地位の確立が必要となる。
このタイミングからブランディングの真価が発揮され始める。
成熟期
市場内が成熟し始める時期、需要も一定数安定化し、商品提供価値の差異もほとんど見られなくなる。
このステージでブランディングを行ってきたかにより大きく差が出てきます。
衰退期
需要の縮小により、市場が小さくなり競合も撤退をし始めます。
競合も新たな市場や上位互換の商品開発を行い新たな市場へと参入し始める頃です。
保守顧客層へのコミュニケーションやアフターケアを行いつつ、新たな市場の模索を始めます。
ブランディングを行う事で獲得したファンを引き連れ新たな市場へと誘導することもできます。
製品ライフサイクル理論で見ると、ブランディングの真価が発揮されるのは成熟期と言えます。
その為、導入期ではブランディングの骨組みを設計し、成長期には施策をはじめていかなければなりません。
ブランディングの最終目的
ここでブランディングの最終目的を今一度おさらいしておきましょう。
ブランディングの最終目的とは「商品価値を最大限発揮し、顧客との絆を深め評判を呼び、ビジネスに貢献していく」事です。
ブランディングを通じて顧客との交流を深め、自社を十分理解してもらい、商品提供価値やそれらに付随する価値を絆と評判へと落とし込む必要があります。
本質を知りタイミングを見極める
ブランディングの最終目的は、「商品価値を最大限発揮し、顧客との絆を深め評判を呼び、ビジネスに貢献していく」と解説をいたしました。
言い換えるなればブランディングは、商品・サービス、企業・店舗の根幹がしっかりとしたものであるからこそ行う施策になります。
ですので、商品やサービスに魅力がない、会社・店舗に魅力がないところからブランディングを行っても効果としては期待できません。
商品や会社の軸やベースがしっかりとしていることが前提となります。
ブランディングは価値があるもの、良いものが世間に認知されていない、その真価が発揮されていないからこそ発揮できるのです。
必要のないもの、売れないものを無理やり売るといった施策ではない事を理解しておきましょう。
誰の為のブランドか?
ブランディングを行う上でおさえておきたいのが、誰の為のブランドなのかをはっきりとさせておきましょう。
一番の対象となるブランドパートナーはもちろん、企業や店舗の魅力を最大限引き出し、新たな利用機会や手段をブランドパートナーと共に創り出していく必要があります。
ブランドとは消費者の頭の中に根付いた瞬間、ブランドとして成立します。
ブランディングは言わば、企業・店舗と消費者を繋ぎ絆を深める橋渡し的な役割と言えます。
コンセプトを柱に
企業ブランディング、商品ブランディング問わず、コンセプトや企業理念が柱となります。
商品開発の場合も商品コンセプトが決まり、商品の機能や性能が明確になった時点でブランディングを始める事をおすすめします。
その時点ではターゲット層や使用シーンなどを想定し進めていきます。
イメージが固まる前に…
家や家電、車などの継続購入が見込めない商材等の場合は市場参入後のトライアル(初期利用の顧客)がひと段落した時点で、将来のブランドパートナーを想定しブランディングを展開していくようにしましょう。
リブランディングは至難の業
一度イメージが定着してしまうと、その時点からのブランディングは至難の業と言えます。
一度根づいたイメージをまた新たなイメージに定着させるのは、新規参入よりも難しい。リブランディングをする場合はじっくりと腰を据えてしっかりとした戦略を練るようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ブランディングのタイミングは、ブランディングの性質上コンセプトなどの基盤がしっかりとしている状態であり、既存ブランドの場合は導入期のトライアル状況を分析してからがベストなタイミングでしょう。
この他にも以下のポイントをおさえておくようにしましょう。
- ブランディングを始める手順をおさえておきましょう。
- ブランディングを始める順番は商品か企業か、自社はどちらが先か見極めよう。
- 製品ライフサイクルに敏感でいよう。
- ブランディングの最終目的は商品価値を最大限発揮し、顧客との絆を深め評判を呼び、ビジネスに貢献していくことである。
- ブランディングの本質は法品・サービス、企業・店舗に魅力がありその価値を最大限発揮させる施策である。
- 計画・準備段階でブランディング戦略を組み込み、設計を行っていこう。