この記事の目次
「技術力には自信がある」 「他社製品よりも優れた機能を持っているはずだ」 「誠実に、お客様のためを思って、本当に良いモノを作っている自負はある」
事業に真摯に取り組む中小企業の経営者様やご担当者様であれば、自社が提供する製品・サービスに対して、このような誇りや熱い想いをお持ちのことでしょう。
しかし、その一方で、「なぜか、その価値がお客様に十分に伝わっていない…」「品質や機能では負けていないはずなのに、売上や評価に結びつかない…」といった、もどかしい思いを抱えてはいないでしょうか。
実は、製品・サービスが「良いこと」と、その良さが「伝わること」は、全く別のスキルと努力を要する、異なる問題です。そして、多くの真面目な企業が、この「伝え方」の部分で、本来得られるはずだったビジネスチャンスを逃してしまっているのです。
この記事では、貴社が誇る製品・サービスの「本当の価値」をお客様の心に届け、ビジネスを成功へと導くための「価値の再定義」と、それを効果的に表現する「見せ方・伝え方」について、具体的なステップで分かりやすく解説します。
なぜ「良いモノ」が伝わらないのか?
多くの企業が陥る“3つの伝え方のワナ”

製品・サービスの価値がお客様に伝わらない原因は、その質にあるのではなく、多くの場合「伝え方」にあります。
まずは、良かれと思ってやってしまいがちな、よくある失敗パターン(=伝え方のワナ)を見ていきましょう。
ご自身の会社のコミュニケーションを振り返りながら、読み進めてみてください。
ワナ1:「機能(スペック)」ばかりを語ってしまう
これは、特に技術力の高い企業が陥りやすいワナです。
「〇〇ギガバイトの大容量メモリを搭載!」「最新のAI技術を採用したエンジン」「業界最高水準の〇〇性能を実現」… こうした機能(スペック)のアピールに終始してしまうケースです。
作り手としては、その優れた機能こそが価値だと信じているため、一生懸命に説明します。
しかし、お客様が本当に知りたいのは、スペックそのものではありません。
お客様の頭の中にあるのは、「だから、私の何の役に立つの?」「そのすごい機能で、私のどんな問題が解決されるの?」という、ごく自然な問いです。
この問いに明確に答えられていない機能説明は、残念ながらお客様の心には響きません。
ワナ2:作り手の「当たり前」で話してしまう
長年製品開発に携わっていると、自社の製品や技術に関する知識が豊富になるあまり、それがお客様にとっても「当たり前の知識」であるかのように話してしまうことがあります。
作り手にとっては自明の「強み」や「こだわり」、あるいは業界の常識も、お客様にとっては全く未知の情報です。
説明が不足していたり、専門用語を多用してしまったりすると、お客様は話についていけず、「なんだか難しそうだ…」「自分には関係ない話かもしれない…」と感じて、価値が伝わる前に心を閉ざしてしまいます。
親切に説明しているつもりが、実は不親切になっている、という悲しい事態です。
ワナ3:「誰にでも良いモノ」は、誰の心にも響かない
自社の製品・サービスに自信があるほど、「この製品は、どんなお客様にもきっと役立つはずだ!」と考え、ターゲットを広くとらえてアピールしてしまいがちです。
しかし、「どなたにもおすすめです」「あらゆるニーズにお応えします」といった総花的なメッセージは、結局のところ、誰の心にも深く刺さりません。メッセージがぼやけてしまい、「これは、まさに私のための製品だ!」と感じてもらえないのです。
全ての人に好かれようとすると、誰からも特別な存在として認識されなくなってしまうのは、人間関係もビジネスも同じかもしれません。
ステップ1:価値の再定義 - あなたの製品・サービスの「本当の強み」を掘り起こす

これらのワナを回避し、価値を効果的に伝えるためには、まず「何を伝えるべきか」、つまり自社の製品・サービスの「本当の価値」を、作り手の視点だけでなく、お客様の視点から深く理解し、再定義する必要があります。
以下の「5つの質問」に、ぜひ社内のメンバーと共に向き合ってみてください。
機能やスペックだけでなく、その奥に眠る「本当の強み」がきっと見つかるはずです。
質問1:この製品・サービスは、顧客のどんな「痛み(ペイン)」を解消し、どんな「喜び(ゲイン)」をもたらしますか?
スペックの話から一旦離れ、お客様の「感情」に寄り添ってみましょう。
お客様は、この製品・サービスを使うことで、どのような不満、不安、不便さ(痛み)から解放されるのでしょうか。
そして、どのような満足感、安心感、達成感、あるいは優越感(喜び)を得られるのでしょうか。
例えば、高性能なセキュリティソフトは、「ウイルス感染のリスク」という痛みを取り除き、「大切な情報を守られている」という安心感(喜び)をもたらします。この感情レベルでの価値を見つけることが、共感を呼ぶメッセージの第一歩です。
質問2:顧客は、これを手に入れることで、どんな「理想の未来」を実現できますか?
お客様は、製品・サービスそのものが欲しいのではありません。
その先にある「理想の自分」や「理想の状態」を手に入れたいのです。
例えば、会計ソフトを導入するお客様は、ソフト自体が欲しいのではなく、「面倒な経理作業から解放され、もっと創造的な仕事に時間を使える未来」や「正確な経営判断ができるようになり、事業が成長していく未来」を求めています。貴社の製品・サービスが、お客様の人生やビジネスをどのように豊かにし、どんな大きなビジョンやライフスタイルの変化をもたらすのかを描き出してみましょう。
質問3:私たちの製品・サービスが、数ある競合ではなく「選ばれるべき理由」は何ですか?
お客様の周りには、多くの選択肢があります。
その中で、あえて貴社を選ぶべき理由、つまり他社にはない、あるいは真似できない独自の強み(USP: Unique Selling Proposition)を明確に言語化する必要があります。
それは、特定の分野における圧倒的な技術力かもしれませんし、長年の経験から培われた独自のノウハウかもしれません。
あるいは、「ここまでやってくれるのか」と言われるような手厚いサポート体制や、担当者の人柄かもしれません。
客観的な事実に基づいて、自信を持って語れる「違い」を見つけましょう。
質問4:この製品・サービスに込めた、私たちの「こだわり」や「譲れない想い」は何ですか?
製品・サービスは、単なるモノや機能の集合体ではありません。
そこには、作り手の「想い」が宿っているはずです。
「なぜ、私たちはこの製品を開発しようと思ったのか?」「どんな困難を乗り越えて、この品質を実現したのか?」「この製品を通じて、社会やお客様にどう貢献したいのか?」といった、開発秘話や創業者の情熱、会社の哲学など、背景にあるストーリーは、お客様の心を動かし、強い共感を呼ぶ源泉となります。
質問5:私たちの「理想のお客様」は、どんな価値観を持ち、何を大切にしている人ですか?
「誰にでも」ではなく、「この人にこそ届けたい」と思える、理想のお客様像(ペルソナ)を具体的に描き出してみましょう。
そのお客様は、どんな仕事をしていて、どんなライフスタイルを送り、どんなことに悩み、何を大切にしている人でしょうか。お客様の解像度を上げることで、その人の心に深く響く言葉選びや、コミュニケーションの取り方が見えてきます。
【ポイント】
この「価値の再定義」のプロセスは、貴社のブランディングの根幹を築く上で最も重要なステップです。
私たち株式会社DIANTが提供する伴走型のブランディング策定サービス『Tsumugi』では、まさにこのプロセスを、「想いの糸(MI – Mind Identity)」や「届け方の糸(DI – Delivery Identity)」を紡ぎ出す核となる対話として、お客様と共に時間をかけて丁寧に行っています。
ステップ2:価値の最大化 - 「見せ方・伝え方」を戦略的に設計する
ステップ1で掘り起こした「本当の価値」を、今度はターゲット顧客の心に深く、そして魅力的に届けるための具体的な表現方法、つまり「見せ方・伝え方」を設計していきましょう。
方法1:ターゲットの心に刺さる「コアメッセージ」を開発する
再定義した価値や強みを、ターゲット顧客が瞬時に「これは私のためのものだ!」と理解できるような、短く、記憶に残りやすい「ひと言」に凝縮します。これが「コアメッセージ」や「タグライン」となり、ウェブサイトのトップページ、広告、パンフレットの表紙など、あらゆるコミュニケーションの核となります。
優れたコアメッセージは、製品・サービスの「存在意義」を一瞬で伝える力を持っています。
方法2:共感を呼ぶ「ストーリー」で語る
人は、単なる事実やスペックの羅列よりも、感情を揺さぶる「物語」に強く惹きつけられます。ステップ1で掘り起こした価値の源泉を、ストーリーとして語りましょう。
- 開発ストーリー:
「なぜ、この製品が生まれたのか?」創業者の想いや開発チームの苦労、ブレークスルーの瞬間などを物語として伝えることで、製品への信頼と共感を深めます。 - お客様の成功ストーリー:
「この製品が、どのようにお客様のビジネスや人生を変えたのか?」具体的な導入事例を、単なる結果報告ではなく、お客様が抱えていた課題と、それを乗り越えて成功に至るまでの物語として紹介することで、未来のお客様は自分自身の成功をイメージしやすくなります。
方法3:デザインの力で「価値を“見える化”」する
言葉だけでは伝わりきらない製品・サービスの価値や世界観、そして「誠実さ」や「信頼感」といった企業の姿勢を、デザインの力を使って直感的に伝えます。
- ウェブサイト:
機能紹介ページだけでなく、導入事例や「お客様の声」のページを充実させ、製品・サービスの価値を第三者の客観的な視点から証明しましょう。社員の顔が見えるコンテンツや、企業の想いを伝えるページも、信頼感を醸成する上で重要です。 - パンフレット/カタログ:
機能一覧表が中心の構成から脱却し、お客様が抱えるであろう課題を提示し、それを製品・サービスがどのように解決するかをストーリー仕立てで見せる構成にしてみましょう。お客様の課題解決のプロセスを追体験できるような構成が理想です。 - 提案資料:
汎用的な資料ではなく、お客様一社一社の課題に合わせて、「あなたのためだけの解決策です」ということが伝わる構成とデザインを意識します。お客様の課題への深い理解を示し、その解決への道筋を分かりやすく示すことが、信頼獲得の鍵となります。 - パッケージ:
製品の「顔」とも言えるパッケージは、その価値観や品質感を体現する重要なメディアです。手にした瞬間に、製品の世界観や作り手のこだわりが伝わるようなデザインを目指しましょう。
【ポイント】
私たち株式会社DIANTは、このように再定義された「本当の価値」を、ウェブサイト、パンフレット、ロゴ、提案資料といった具体的なクリエイティブに落とし込み、企業の「らしさ」が伝わる、効果的な「伝わるデザイン」を創り上げることを最も得意としています。
「“良いモノ”を創る力」と「“価値”を伝える力」、
両輪でビジネスは加速する

どれだけ素晴らしい製品やサービスを持っていても、それだけでは競争の激しい現代市場を勝ち抜いていくことは困難です。
その価値を、本当に必要としているお客様に、正しく、そして魅力的に「伝える力」を掛け合わせることで、初めてビジネスのエンジンは力強く回転し、加速していきます。
もし、貴社が今、「“良いモノ”を作っているはずなのに、なぜか伝わらない…」というもどかしさを少しでも感じているなら、それは貴社が持つポテンシャルが、まだ十分に発揮されていない証拠であり、大きな成長のチャンスが眠っているということです。
一度立ち止まり、自社の製品・サービスの「価値の再定義」と、その「見せ方・伝え方」を、社内の皆さんと一緒に見直してみませんか?
株式会社DIANTでは、貴社の製品・サービスに眠る「本当の価値」を共に掘り起こし、それを顧客の心に届けるためのブランディング戦略(『Tsumugi』)から、具体的なデザイン制作まで、ワンストップでサポートします。
私たちは、お客様の事業課題を根本から解決することを目指す「ソリューションデザイン」の考え方を大切にし、お客様と「共に創る」伴走型のプロセスで、貴社のビジネスを成功へと導くお手伝いをいたします。
まずは無料相談で、貴社が大切にしている製品・サービスへの「伝えたい想い」を、私たちにお聞かせください。
ブランディングデザインにご興味がございましたら、ぜひ以下のリンクもご確認ください。