この記事の目次
あなたの会社は、「何でもできる」と言ってしまっていませんか?
お客様から「こんなことも、できますか?」と相談された時、誠実で、お客様想いの経営者であるほど、「はい、できます!何とかします!」と、懸命に応えようと努力してきたのではないでしょうか。
その真摯な姿勢の結果、いつしか会社のサービスのメニューは増え、事業領域は広がり、ウェブサイトや会社案内の冒頭には「〇〇から△△まで、お客様のあらゆるニーズにワンストップで対応します」といった、頼もしい言葉が並んでいませんか?
しかし、そのお客様を想うがゆえの「何でもできます」という言葉が、実は会社の個性を少しずつぼやけさせ、お客様の記憶に残りづらくさせ、そして、社員の貴重な力を分散させているとしたら…?
この記事では、小手先のデザインテクニックや、美しい言葉の作り方の話は一切しません。
その代わり、私たちの仕事の根底にある哲学であり、本当に強く、美しいブランドを築く上で最も重要だと考える「捨てる勇気、やらない覚悟」について、少し深く、本質的なお話をしたいと思います。
なぜ、「あれもこれも」と“足し算”する経営は、魅力を失うのか
「できることが増えるのは、良いことではないか?」そう思われるかもしれません。
しかし、「足し算」ばかりの経営には、静かに、しかし確実にビジネスを蝕んでいく3つの弊害が潜んでいます。
1. 資源の、致命的な分散
私たち中小企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)は、常に限られています。
大企業のように、潤沢なリソースがあるわけではありません。「あれもこれも」と手を広げれば、一つひとつのサービスや製品に注ぎ込めるエネルギーは必然的に分散し、品質は低下し、「器用貧乏」の状態に陥ってしまいます。
全ての料理を70点の味で提供するレストランに、わざわざ行きたいと思うお客様はいるでしょうか。
2. メッセージの、深刻な希薄化
「何でも屋」は、お客様から見れば、裏を返せば「何の専門家でもない」ということです。
お客様が本当に困った時、心から頼りたいと思うのは、やはりその道のプロフェッショナルです。
「この課題なら、あの会社に相談しよう」という、お客様の心の中での明確な選択理由を見つけられず、結局、より専門性の高い競合他社を選んでしまうのです。
3. 組織の、静かな疲弊
明確な事業の優先順位がないため、社員は何に集中すれば会社に貢献でき、評価されるのかが分かりません。
次から次へと舞い込む、脈絡のない仕事にただ対応するだけの日々が続き、心身ともに疲弊していきます。
組織としての「これだけは負けない」という得意技が磨かれることもなく、一体感も生まれません。
ブランディングの本質とは、「何を言うか」の前に、「何者であるか」を定義すること
よくあるブランディングへの誤解
多くの人が、ブランディングを「自社の良いところを、どうやってお客様に上手く伝えるか(何を言うか)」という、コミュニケーションの技術だと考えています。もちろん、それもブランディングの重要な一部です。
DIANTが考える、より本質的な問い
しかし、私たちはその前に、もっと根源的で、時には痛みを伴う問いから始めます。
「そもそも、私たちは何者で、どこで戦い、そして、どこでは戦わないのか?」
この「自社の本質」を、経営者、そして社員の皆様と共に見極めることこそが、ブランディングの、揺るぎない本当の出発点です。
「やらないこと」を決める、という経営者の“覚悟”
そして、「自社の本質」を見極めるという行為は、必然的に「やらないこと」を明確に決めるという、厳しい“覚悟”を経営者に迫ることになります。
「この市場は、どんなに魅力的に見えても、私たちの理念とは合わないから参入しない」
「私たちの価値を理解していただけない、このタイプのお客様からのご依頼は、たとえ売上が惜しくても、丁重にお断りしよう」
「この事業は、かつては主力だったが、今の私たちが目指す未来とは違うから、勇気を持って撤退する」
それは、目先の利益や可能性を「捨てる」という、非常に勇気のいる決断です。
“やらない覚悟”が、会社に揺るぎない「強さ」と「美しさ」をもたらす
しかし、その痛みを乗り越え、「やらないこと」を覚悟を持って決めた会社だけが、手に入れることのできる、本物の「強さ」と「美しさ」があります。
「一点突破」の、圧倒的な強さが生まれる
「やらないこと」を明確に決めることで、限られた貴重な経営資源を、自社が本当に価値を発揮できる、たった一つの「一点」に集中投下できます。
その結果、その分野における専門性、品質、そしてブランド力は、他社が到底追随できないレベルまで、深く、鋭く磨き上げられていきます。
社員が迷わず、誇りを持って働ける
会社の「戦う場所」と「守るべき価値観」が明確になることで、社員は日々の業務における、ブレない判断基準を得ます。それは、「この仕事は、私たちの“らしさ”に合っているだろうか?」という、シンプルで力強い問いです。
日々の業務から迷いがなくなり、自分たちの仕事が会社の未来にどう貢献しているかを実感できるため、社員は誇りを持って働くことができます。
顧客にとって「唯一無二」の存在になれる
「何でも屋」であることをやめ、「〇〇の専門家」として、鮮やかな旗印を高く掲げることで、お客様の記憶に、強く、そして深く刻まれます。「あの課題で困ったら、あの会社しかない」と、価格競争の土俵ではない、名指しで選ばれる、かけがえのない「唯一無二」の存在になるのです。
ブランディングとは、“覚悟”をデザインすることである
ブランディングとは、耳障りの良い言葉を並べたり、流行りのデザインで見た目を飾ったりすることではありません。
それは、自社の魂と真正面から向き合い、何に命を燃やし、何を捨てるのかを、経営者として覚悟を持って決めること。そして、その“覚悟”そのものを、社員と、お客様と、社会と共有していく、極めて誠実な経営活動です。
私たちの、本当の役割
私たち株式会社DIANTの役割は、その経営者の皆様の、孤独で、しかし崇高な「覚悟」を、社員が心から誇りに思う「旗印」に、お客様が深く共感する「物語」に、そして会社の未来を明るく照らす揺るぎない「羅針盤」に、デザインという力で翻訳し、形にすることです。
私たちは、ただ言われた通りのデザインを作るだけの業者ではありません。 時には、お客様の「あれもこれもやりたい」という熱い想いに対して、「社長、本当にやるべきは、そこでしょうか?むしろ、これを“やめる”ことから始めませんか?」と、厳しい問いを投げかけることもあります。
それは、私たちがお客様の未来に本気でコミットする、覚悟を持ったパートナーでありたいと、心から願っているからです。
会社の未来について、小手先ではない、本質的な議論がしたい。
そうお考えの経営者様は、ぜひ一度、私たちにお声がけください。
ブランディングデザインにご興味がございましたら、ぜひ以下のリンクもご確認ください。

