この記事の目次
社長、あなたの会社は、ただの“ラーメン屋”で終わっていませんか?
経営者であるあなたは、いわば一杯のラーメンに人生をかける「ラーメン屋の店主」です。
誰にも真似できない、最高の“一杯”をお客様に届けたい。そう願い、夜も眠らずスープを研究し、最高の素材を求めて走り回り、日々、厨房に立っていることでしょう。
しかし、こんな根深い悩みはありませんか? 「味には絶対の自信があるのに、なぜかお客様が増えない…」 「店の前に、のぼり旗は立てているのに、誰も足を止めてくれない…」 「一度は来てくれるのに、二度目の来店がない。常連さんがつかない…」
不思議なことに、行列のできるラーメン屋には、必ず「秘伝のスープ」「食欲をそそる匂い」「心づくしの接客」という、三位一体の揺るぎない連携が存在します。それは、どれか一つが欠けても成立しない、奇跡のようなバランスの上に成り立っています。
【DIANT式 経営の「おきかえ」辞典】
記念すべき第一回。 今回は、ビジネスの根幹をなす3つの言葉を、あなたの情熱そのものである「ラーメン屋経営」に置き換えて、それぞれの役割と、決して切り離すことのできない、その密接な関係性を、じっくりと、そして深く解き明かしていきます。
【おきかえ辞典】
ブランディング
DIANT式の「おきかえ」
店の“魂”であり、店主が命をかける「秘伝のスープ」
マーケティング
DIANT式の「おきかえ」
店の前で足を止めさせる「食欲をそそる匂い」と「のぼり旗」
セールス
DIANT式の「おきかえ」
「うまい!」を引き出す、最高の“一杯の提供”
【解説】それぞれの役割
ブランディング = 店の“魂”であり、店主が命をかける「秘伝のスープ」
それは、一体何か?
ブランディングとは、単にロゴマークを作ったり、おしゃれな名前をつけたりすることでは断じてありません。それは、「俺は、どんなお客様を、最高の一杯で心から唸らせたいのか」という、店主の揺るぎない哲学、すなわち“生き様”そのものです。
そして、その哲学から必然的に生まれる、何十年もかけて継ぎ足し、改良を重ねて完成させた「秘伝の豚骨スープ(=企業の理念や使命)」
その濃厚なスープとの相性を計算し尽くした、特注の「ちぢれ麺(=他社には真似できない独自の技術やUSP)」
カウンターの重厚な木の温もりや、心地よいジャズが流れる「店内の雰囲気(=VIや店舗デザイン)」
そして「スープがなくなれば、その日は暖簾を下ろす」「どんなに忙しくても、お客様一人ひとりの顔を見て挨拶する」といった、頑固なまでの「店のこだわり(=バリューや行動指針)」
これら全てが、あなたの店の「らしさ」を形作る、かけがえのないブランディングなのです。
もし、これがなかったら?
どんなに「ラーメン屋、始めました!」と大きな声で宣伝しても、お客様の心には「どこにでもある、ありふれたラーメン屋」としか映りません。
特徴のないスープは記憶に残らず、お客様はより安い店、より家から近い店へと流れてしまいます。
その結果、終わりなき価格競争の泥沼に巻き込まれるだけの、魂のない一杯になってしまうでしょう。
ブランディングとは、あなたの店を、他とは違う「わざわざ遠くからでも 来店する理由のある、唯一無二の店」にするための、全ての土台であり、存在理由そのものなのです。
マーケティング = 店の前で足を止めさせる「食欲をそそる匂い」と「のぼり旗」
それは、一体何か?
マーケティングとは、店主が魂を込めて作った、最高の一杯の存在を、まだそれを知らない未来のお客様に届け、「この店、なんだかものすごく気になるぞ!俺を呼んでいる!よし、入ってみよう!」と、店の扉を自らの意志で開けてもらうための、戦略的な活動の全てです。
店の換気扇から外にまで漂う、抗いがたいほど食欲をそそる「スープの匂い(=人を惹きつけるコンテンツ)」
風にはためき、店のこだわりを伝える「自家製麺」ののぼり旗(=広告やキャッチコピー)」
地元のラーメン雑誌への掲載や、思わずお腹が鳴るような「SNSでの“飯テロ”写真投稿(=PRやSNS運用)」
そして、何よりも強力なのが、先にファンになった常連さんの「あそこのラーメン屋、人生変わるくらい美味いよ」という「熱狂的な口コミ(=最高のマーケティング資産)」
これら全てが、最高のスープの存在を世に知らしめるための、重要なマーケティング活動にあたります。
もし、これがなかったら?
どんなに奇跡のような美味しいラーメンを作っていても、その存在を誰にも知られなければ、お客様は一人もやってきません。最高のスープが、誰にも味わってもらえないまま、寸胴の中で静かに、悲しく眠り続けることになってしまいます。マーケティングとは、魂を込めた一杯を、それを心の底から求めているであろうお客様の元へと届けるための、希望に満ちた「橋渡し」であり、出会いの創出なのです。
セールス =「うまい!」を引き出す、最高の“一杯の提供”
それは、一体何か?
セールスとは、匂いに誘われてのれんをくぐり、期待に胸を膨ませてくれたお客様を、その期待を遥かに超える満足で包み込み、「また絶対に、あの店主に会いに来よう」と熱烈な常連客にするための、最終的かつ最も重要な活動です。
それは、決してラーメンを運ぶだけの単純作業ではありません。
券売機の前で迷うお客様に「初めてかい?だったら、まずはウチの看板のコレを食ってみな!後悔はさせねえよ!」と笑顔で声をかけること(=顧客への最適な提案)
「麺の硬さはどうしますか?」「ニンニクは入れますか?」と、お客様一人ひとりの好みを丁寧に尋ねること(=ニーズのヒアリングとカスタマイズ)
そして、完璧なタイミングで湯気の立つ最高の一杯を「へい、お待ちどう!熱いから気をつけてな!」とカウンター越しに提供する(=納品・デリバリー)、その一連の人間的な触れ合い、その瞬間こそがセールスです。
もし、これがなかったら?
どんなに店の雰囲気が良く、宣伝が上手くても、ラーメンの提供が遅かったり、店員の態度が悪かったり、お冷がぬるかったりすれば、お客様の期待は一瞬で裏切られ、せっかくの一杯も台無しです。
売上という、店を存続させるための“最後のピース”が埋まらなければ、どんなに素晴らしいスープも、明日にはもう作り続けることはできないのです。セールスとは、お客様の期待を「感動」にまで昇華させ、それを売上に変え、明日への活力とするための、ビジネスの生命線なのです。
【結論】なぜ、この3つは“掛け算”でなければならないのか?
もうお分かりいただけたでしょうか。この3つの関係は、単なる「足し算」ではありません。
結果を最大化するための「掛け算」なのです。
ブランディング(10点) × マーケティング(10点) × セールス(10点) = 1000点
これが、行列のできるラーメン屋の状態です。魂のスープがあり、その存在が正しく伝わり、最高の体験が提供される。奇跡の連携です。
しかし、もしどれか一つでも欠けていたら…
ブランディング(10点) × マーケティング(10点) × セールス(0点) = 0点
どんなに素晴らしいスープがあり、お店が繁盛して見えても、店員の態度が悪ければ、お客様は二度と来ません。
評判は地に堕ち、結果はゼロです。
ブランディング(0点) × マーケティング(10点) × セールス(10点) = 0点
魂のない、どこにでもあるスープでは、どんなにマーケティングとセールスを頑張っても、お客様は満足せず、リピートしません。これもまた、結果はゼロなのです。
さあ、社長。 あなたの会社という名のラーメン屋は、この3つの「掛け算」が、力強く機能しているでしょうか?
一度、そんな視点で、ご自身の厨房を、そして店の佇まいを、じっくりと、厳しく、そして愛情を持って見つめ直してみてはいかがでしょうか。
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