この記事の目次
「そのUXが…」「ペルソナが…」打ち合わせで、心の中で冷や汗をかいていませんか?
デザイナーや広告代理店、Web制作会社との打ち合わせ。
プロジェクターに映し出される資料には、見慣れないカタカナの専門用語が並び、担当者は「知っている前提」で、流暢に話を進めていく。
「弊社の強みをペルソナに刺さる形で…」「このUXを改善して、エンゲージメントを高める必要が…」
(ペルソナ…?UX…?エンゲージメント…?) 正直、半分も意味が分かっていない。
しかし、今さら「それ、どういう意味ですか?」とは、なかなか聞きづらい…。そんな風に、心の中で冷や汗をかきながら、愛想笑いでその場を乗り切った経験は、多くの経営者様にあるのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事は、そんな多忙な経営者の皆様のための「ブランディング用語“超訳”辞典」です。
難解に聞こえる専門用語を、「ああ、そういうことだったのか!」と膝を打つような、日々の経営実感に置き換えた分かりやすい言葉と具体例に“超訳”しました。
これさえあれば、もう打ち合わせで慌てる必要はありません。
自信を持って、デザイナーやパートナーと対等に、自社の未来を語るための「共通言語」を手に入れましょう。
【第一章】基本戦略編:会社の「魂」と「進むべき道」を決める言葉
ブランディング (Branding)
- 超訳: 会社の『ファンづくり活動』
- ひとこと解説
お客様に「価格」で選ばれるのではなく、「この会社だから」「あなただから」という理由で選ばれ、長く愛され続けるための全ての活動を指します。 - なぜ重要か?
ファンになってくれたお客様は、繰り返し購入(リピート)してくれるだけでなく、時にはあなたの会社を他の人に熱心に薦めてくれる、最高の営業マンになってくれます。価格競争から抜け出し、安定した経営基盤を築くための鍵です。
ブランドアイデンティティ (BI or ID)
- 超訳: 会社の『自己紹介』
- ひとこと解説
「私たちは一体何者で、何を大切にし、社会に対してどんな約束をするのか」という、会社の根幹となる考え方や姿勢のこと。これがブレていると、そもそも自己紹介がままなりません。 - DIANTの視点
私たちがブランディング支援サービス『Tsumugi』で、お客様との対話を通じて最も丁寧に紡ぎ出す「想いの糸(MI)」は、まさにこの自己紹介の“魂”を、共感できる言葉として定義していくプロセスです。
CI (コーポレート・アイデンティティ)
- 超訳: 会社の『あり方』そのもの
- ひとこと解説
会社の理念やビジョンを明確に定義し、それをロゴマークや社員の行動、オフィス環境など、社内外との全ての接点で一貫させていくこと。ブランドアイデンティティよりも、さらに広い経営全体の概念として使われます。
リブランディング (Rebranding)
- 超訳: 会社の『生まれ変わり宣言』
- ひとこと解説
時代の変化や事業内容の進化に合わせて、会社の「あり方」や「見せ方」を再定義し、新しい価値を社内外に力強く示すこと。事業承継や、新規事業の開始、創業から節目となる年などが、リブランディングを行う絶好のタイミングです。
ポジショニング (Positioning)
- 超訳: 業界地図の『席決め』
- ひとこと解説
競合他社がひしめく市場の中で、「うちは、この席で勝負する!」という、自社が最も輝ける独自の立ち位置を明確にすること。「安さ」の席か、「手厚いサポート」の席か、「最先端技術」の席か。どこに座るかで、戦い方が全く変わります。
コアバリュー (Core Value)
- 超訳: 会社の『家訓』
- ひとこと解説: 会社の使命(ミッション)や理想像(ビジョン)を実現するために、社員全員が必ず守るべき、絶対に譲れない価値観や行動指針のこと。「誠実であれ」「常に顧客視点で」など、日々の判断の拠り所となります。
7. USP (Unique Selling Proposition)
- 超訳: ウチだけの『売り文句』
- ひとこと解説
競合他社には決して真似できない、あるいは真似しようとしない、自社だけのユニークな強みやお客様への提案のこと。「〇〇なのは、業界でウチだけです」と、自信を持って言えるものがUSPです。
【第二章】表現・デザイン編:会社の「人格」を伝える言葉
戦略が決まったら、次はその「魂」を、目に見える形に表現していきます。
トーン&マナー (トンマナ)
- 超訳: 会社の『服装と話し方』
- ひとこと解説: 例えば、誠実で信頼感のある人格を伝えたいなら、服装(デザイン)は落ち着いたスーツのように、話し方(文章の言葉遣い)も丁寧で論理的に。会社としての人格を一貫させるための、表現上の統一ルールのことです。
VI (ビジュアル・アイデンティティ)
- 超訳: 会社の『見た目』のルールブック
- ひとこと解説: ロゴ、ブランドカラー、指定フォントなど、会社の「見た目」に関する要素を統一するための、具体的なルールを定めたもの。トーン&マナーの核となる、最も重要な部分です。
ロゴマーク / ロゴタイプ
- 超訳: 会社の『家紋』と『屋号の筆文字』
- ひとこと解説: ロゴマークは、会社の理念や事業内容を象徴する図形(まさに家紋のような存在)。ロゴタイプは、社名をデザインした文字(老舗の看板に書かれた屋号のようなもの)。多くの場合、この二つを組み合わせて、会社の「顔」となるロゴが作られます。
キービジュアル (Key Visual)
- 超訳: 今年の『顔写真』
- ひとこと解説: その商品やキャンペーン、あるいはその時期の会社全体の象徴となる、メインの画像やデザインのこと。ポスターやウェブサイトのトップページ、広告などで中心的に使われ、伝えたい世界観を凝縮して表現します。
インフォグラフィック (Infographic)
- 超訳: 難しい話の『図解』
- ひとこと解説: 複雑な情報や、多くのデータ、サービスの仕組みなどを、イラストやグラフ、図を使って、直感的に分かりやすく表現したデザインのこと。文章で長々と説明するよりも、一瞬で理解を促すことができます。
【第三章】顧客体験編:お客様との「絆」を深める言葉
UI (ユーザーインターフェース)
- 超訳: 『道具の使いやすさ』
- ひとこと解説: UX(おもてなし全体)を実現するための、具体的なお客様との接点のこと。ウェブサイトのボタンの形や色、アプリの画面レイアウトなど、お客様が直接見て、触れる部分のデザインを指します。「このボタン、押しやすいな」と感じる、その「押しやすさ」がUIです。
ペルソナ (Persona)
- 超訳: 『たった一人の、理想のお客様』
- ひとこと解説: 「この人にだけは、絶対に喜んでほしい」と、経営者であるあなたが心に思い浮かべる、架空の理想顧客のこと。年齢、役職、性格、悩みまでを具体的に設定します。そのたった一人に深く刺さるものを作れば、結果的に、その人に似た多くの人々の心に届きます。
カスタマージャーニーマップ (CJM)
- 超訳: お客様の『心の旅路マップ』
- ひとこと解説: お客様が、あなたの会社を全く知らない状態から、認知し、興味を持ち、比較検討し、購入し、そしてファンになるまでの一連の体験と、その時々の感情(嬉しい、不安、面倒など)を、時系列で可視化した地図のこと。この地図を元に、最適なタイミングで最高のおもてなしを考えます。
エンゲージメント (Engagement)
- 超訳: 会社とお客様・社員の『絆の強さ』
- ひとこと解説: 単なる「好き」という感情を超えた、深い愛着や信頼関係のこと。エンゲージメントが高いファンや社員は、多少のことがあっても、簡単にはあなたの会社から離れません。
CTA (コール・トゥ・アクション)
- 超訳: お客様への『次の行動のお誘い』
- ひとこと解説: ウェブサイトなどを訪れたお客様に対して、「資料請求はこちら」「無料相談を予約する」など、次にとってほしい具体的な行動を促すためのボタンやリンクのこと。分かりやすく、魅力的なお誘いができるかが、成果を大きく左右します。
【第四章】効果測定編:ブランドの「価値」を測る言葉
ブランディングの効果を、どのように測るか。その指標となる言葉です。
ブランドエクイティ (Brand Equity)
- 超訳: 会社の『信用の貯金高』
- ひとこと解説: 会社が長年にわたる誠実な活動を通じて、お客様や社会との間に築き上げてきた、ブランドが持つ無形の資産価値のこと。この「信用の貯金」が多ければ多いほど、価格競争に巻き込まれにくく、ビジネスを有利に進めることができます。
NPS (ネット・プロモーター・スコア)
- 超訳: 『ウチのこと、友達に薦めたい?』度
- ひとこと解説: 顧客ロイヤルティ(絆の強さ)を測るための、世界的な標準指標。「この会社(製品・サービス)を、あなたの友人や同僚に薦める可能性は、0〜10点でどのくらいありますか?」という、たった一つの質問で計測します。
言葉は、未来を語るための「道具」。さあ、使いこなそう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
専門用語は、決して知っていることをひけらかすためのものではありません。
自社が「ありたい姿」や、「解決したい課題」を、デザイナーや代理店といったパートナーと正確に共有し、認識のズレなく、共に未来を創るための、非常に大切で、パワフルな「道具」なのです。
この辞典が、貴社にとって最高の「道具箱」となり、ブランディングという未来への旅路を、より楽しく、より確かなものにできることを、心から願っています。
もし、この辞典を読んでも分からない言葉があったり、「なるほど、では自社の場合は、どう考えればいいのだろう?」といった、より具体的な相談をしたくなったりしたら、いつでも私たち株式会社DIANTにお声がけください。
私たちは、どんな専門用語も、貴社の日常の言葉に丁寧に“超訳”し、同じ目線で、同じ熱量で、貴社の未来を語り合うことから始めます。
ブランディングデザインにご興味がございましたら、ぜひ以下のリンクもご確認ください。
