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あなたの会社は『温泉旅館』タイプ? それとも『ビジネスホテル』タイプ? 会社の“おもてなし”から考える、顧客に選ばれ続ける理由

この記事の目次

もし、あなたの会社が「宿」だとしたら、
お客様はどんな一夜を過ごせますか?

出張で泊まるなら、駅に近くて、清潔で、無駄のないサービスが受けられる機能的な「ビジネスホテル」。 

家族との大切な記念日を祝うなら、心のこもったおもてなしと、そこでしか味わえない特別な体験ができる「温泉旅館」。

私たちは、その時の目的や求める価値によって、泊まる場所を無意識のうちに使い分けています。
では、お客様が貴社という「宿」を選ぶ時、そこにはどのような「おもてなし」を期待しているのでしょうか?

そして、貴社は、その期待に明確な形で応えられているでしょうか?
この記事では、「ビジネスホテル」と「温泉旅館」という、誰にでも分かりやすい比喩を用いて、貴社がお客様に提供している価値の本質と、お客様から選ばれ続けるためのブランド戦略について、一緒に考えていきたいと思います。

「うちはどっちのタイプだろう?」と、ぜひご自身の会社に当てはめながら、読み進めてみてください。

「ビジネスホテル」型企業の価値提供
効率性と信頼性の“おもてなし”

まず、一つ目のタイプである「ビジネスホテル」型の企業について見ていきましょう。

コンセプト: 効率、スピード、標準化、信頼性、コストパフォーマンス

ビジネスホテルの最大の魅力は、「期待通りのサービスが、無駄なく、スピーディに受けられる」という安心感と信頼性にあります。余計な情緒は挟まず、お客様のビジネス上の目的達成を、機能的に、そして確実にサポートすることに価値の重点を置いています。

顧客が期待する価値

  • 無駄なやり取りがなく、スピーディで効率的な対応
  • 誰にでも分かりやすい、明朗な料金体系とサービス内容
  • 「いつも通り」を裏切らない、安定したサービス品質
  • 担当者が誰であっても、同じ水準のサービスが受けられるという安心感

ビジネスにおける具体例(中小IT企業の場合)

  • 提供するIT保守サービスが、松・竹・梅のように明確にパッケージ化されており、ウェブサイト上で料金やサービス内容が一目瞭然になっている。
  • お客様からの問い合わせは、効率的なチケットシステムで管理され、「24時間以内に一次回答」といったSLA(サービス品質保証)を定めて、それを確実に守っている。
  • 業務プロセスがマニュアル化・標準化されており、どの担当者でも安定した品質のサポートを提供できる体制が整っている。
  • ウェブサイトから直接、サービスの申し込みやオンライン決済が可能で、お客様の手を煩わせない。

強みと目指すべき姿

「ビジネスホテル」型の強みは、その効率性と信頼性を徹底的に磨き上げることで、「スピード」や「コストパフォーマンス」「安定稼働」を何よりも重視するお客様から、絶大な信頼を得られる点にあります。

このタイプの企業を目指すのであれば、中途半端な情緒的サービスを挟むのではなく、どこまでも機能的で、合理的で、スピーディであることを追求すべきです。

「温泉旅館」型企業の価値提供
情緒と体験の“おもてなし”

次に、二つ目のタイプである「温泉旅館」型の企業です。

コンセプト: パーソナルな体験、深い関係構築、情緒的な価値、唯一無二の特別感

温泉旅館の魅力は、マニュアル通りではない、一人ひとりのお客様に合わせた心のこもったおもてなしと、そこでしか味わえない特別な体験にあります。
お客様のビジネス上の課題だけでなく、その背景にある想いや悩みにまで寄り添い、長期的なパートナーとして共に歩むことに価値を置きます。

顧客が期待する価値

  • 自社の複雑な状況や、言葉にしきれない想いを深く理解した上での、柔軟でオーダーメイドな提案
  • 担当者との人間的な繋がりや、「この人だから相談したい」と思える親身な対応
  • 「そこまで考えてくれるのか」「ここまでしてくれるのか」という、期待を超える感動やサプライズ
  • その会社でしか味わえない、特別な体験や、背景にある共感できるストーリー

ビジネスにおける具体例(中小IT企業の場合)

  • パッケージ商品は持たず、お客様一社一社の業務フローや企業文化に合わせて、完全オーダーメイドのシステムを丁寧にヒアリングしながら構築する。
  • 社長自らがお客様の相談に乗り、単なるITの課題だけでなく、経営層が抱える深い悩みまで共有し、共に解決策を考える。
  • 定期的に担当者がお客様の元へ足を運び、システムの調子を伺うだけでなく、IT以外の経営相談にも乗るなど、長期的なパートナーシップを築いている。
  • ウェブサイトや会社案内では、「私たちの想い」といった理念や、社員一人ひとりの人柄を前面に出した情報発信を積極的に行っている。

強みと目指すべき姿

「温泉旅館」型の強みは、お客様を熱狂的な「ファン」に変え、価格競争とは全く無縁の、強固で長期的な関係を築ける点にあります。このタイプを目指すのであれば、効率性や標準化だけを追い求めるのではなく、いかにしてお客様一人ひとりに深く寄り添い、期待を超える感動体験を提供できるかを追求すべきです。

最も危険なのは、どっちつかずの「中途半端な宿」

ここまで読んでいただいて、「うちはビジネスホテル的な側面も、温泉旅館的な側面もあるな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ここで最も注意すべきなのが、どっちつかずの「中途半端な宿」になってしまうことです。

陥りがちなワナ

お客様から最も選ばれにくいのは、「ビジネスホテルを名乗っているのに、対応が遅くて価格も不明瞭」「温泉旅館のような温かさを謳っているのに、実際はサービスが画一的でマニュアル対応」といった、ポジショニングが曖昧な企業です。

  • 効率を求めるお客様は、「話が長くて、手続きも面倒だな…」と感じて離れていきます。
  • 深い関係性を求めるお客様は、「結局はマニュアル通りの対応か…」と失望してしまいます。

顧客が感じる不満と混乱

お客様は、最初に抱いた期待を裏切られ、「効率的なのか、情緒的なのか、この会社の方針はどっちつかずでよく分からない」と感じ、混乱します。結果として、コンセプトが明確な他の「ビジネスホテル」や「温泉旅館」を選んでしまうのです。

貴社は、自社の「おもてなしスタイル」を明確に定め、それを社内外に対して、ブレなく、そして徹底的に実践できているでしょうか?

あなたの会社はどっち? “おもてなしスタイル”診断チェック

自社の「タイプ」を客観的に見つめ直すために、以下の簡単な診断チェックを試してみてください。
現在の姿と、本来目指したい姿の両面から考えてみるのも良いでしょう。

【おもてなしスタイル診断】

サービス提供のスタイルは?
(A) 主に標準化されたパッケージプランで提供している
(B) 主に案件ごとの個別カスタマイズで提供している


顧客との関係の築き方は?
(A) できるだけ多くの顧客と、効率的に接点を持つことを重視している
(B) 特定の顧客と、深く、長期的な関係を築くことを重視している


社員の働き方は?
(A) マニュアルやプロセスに基づいて、正確に動くことが多い
(B) 社員一人ひとりの裁量や判断で、柔軟に対応することが多い


自社の強みを語る時、よく使う言葉は?
(A) 「スピード」「価格」「安定性」「効率化」といった言葉
(B) 「寄り添う力」「提案力」「人間関係」「オーダーメイド」といった言葉

診断結果はいかがでしたか? (A)が多ければ「ビジネスホテル」寄り、(B)が多ければ「温泉旅館」寄りと言えるでしょう。大切なのは、このAとBが、自社の中で矛盾なく、一貫しているかどうかです。

最高の「おもてなし」を、揺るぎない「ブランド」へ

今回の診断で、どちらのタイプに多く当てはまったでしょうか。 ここで最も重要なのは、「ビジネスホテル」と「温泉旅館」のどちらが優れているか、ということでは全くない、という点です。どちらのスタイルも、お客様にとっては素晴らしい価値となり得ます。

本当に大切なのは、自社がどちらのタイプの「宿」を目指すのかを、経営者として明確に決め、その“おもてなしスタイル”を、ウェブサイトの言葉遣いから、営業担当者の提案スタイル、納品後のサポート体制、そして社員一人ひとりの振る舞いに至るまで、あらゆる企業活動で徹底的に貫くことです。

その「徹底」された一貫性こそが、お客様にとっての「この会社は、こういう価値を提供してくれるんだ」という「分かりやすさ」となり、「信頼」となり、そして競合他社ではなく「わざわざ、あなたを選ぶ理由」、すなわち強固なブランドを形作るのです。

もし、貴社が自社の「おもてなしスタイル」を明確にし、それを単なる日々の業務から、お客様に選ばれ続ける「最高のブランド」へと昇華させたいとお考えなら、ぜひ一度、私たち株式会社DIANTにご相談ください。

私たちの伴走型ブランディングサービス『Tsumugi』は、まさに貴社が目指すべき「宿のタイプ」を社長や社員の皆様と共に定義し、その魅力を最大限に伝えるための“世界観”(ウェブサイト、ロゴ、各種ツール)を、隅々まで丁寧に設計するお手伝いをするためのサービスです。

ブランディングデザインにご興味がございましたら、ぜひ以下のリンクもご確認ください。

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