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もし今、エレベーターで“生涯で一番の顧客”候補と乗り合わせたら、30秒で自社の何を語りますか?

この記事の目次

商談の冒頭5分、「会社の自己紹介」で損をしていませんか?

チン、と音を立ててエレベーターの扉が開き、あなたは乗り込む。

すると、偶然にも、あなたがずっとアプローチしたいと願っていた企業の社長が、同じ空間に。穏やかな笑みをたたえ、彼はあなたに問いかける。

「〇〇社の社長さんでしたよね。一度お話を伺いたいと思っていました。差し支えなければ、御社のことを少し教えていただけますか?」

絶好のチャンスだ。時間は、目的の階に着くまでの、わずか30秒。 あなたの頭の中には、「創業15年の実績、高い技術力、行き届いたサポート体制、お客様を想う誠実な対応…」と、伝えたいことが嵐のように駆け巡る。しかし、言葉がまとまらない。どれから話せばいい?どう言えば伝わる?

そうこうしているうちに、無情にもエレベーターの扉は再び開き、彼は「では、また」と一言残して去ってしまう…。
これは、少しドラマチックなフィクションかもしれません。

しかし、この30秒という時間は、会社の未来を左右するかもしれない、現実のビジネスチャンスの縮図です。

名刺交換の短い時間、交流会での立ち話、商談の冒頭…。この千載一遇の機会に、あなたは自社の価値を、相手の心に響く形で伝える準備ができていますか?

この記事では、難しく聞こえがちな「ブランディング」を、「営業がラクになる最強の自己紹介を創る技術」と捉え直します。そして、貴社の「本当の価値」がわずか30秒で伝わり、あらゆるビジネスチャンスの“つかみ”を劇的に変えるための、実践的な物語の作り方を解説します。

なぜ「事業内容の早口説明」では、チャンスを逃すのか?

限られた時間で自社を伝えようとする時、私たちはつい、事業内容を早口で説明してしまいがちです。
しかし、このアプローチでは、残念ながらチャンスを掴むことはできません。

相手の記憶に、何も残らない

「私たちは、中小企業様向けに、ネットワーク構築、サーバー保守、セキュリティ対策、システム導入支援などをワンストップで…」

限られた時間でサービスの羅列を聞かされても、相手は情報を処理しきれず、右から左へと聞き流してしまいます。
エレベーターを降りる頃には、「ITの会社だったかな…」というぼんやりとした印象以外、何も記憶に残っていません。

他社との違いが、全く伝わらない

さらに深刻なのは、あなたが語る事業内容は、おそらく競合他社のウェブサイトに書かれていることと、ほとんど大差ないように聞こえる、という点です。

これでは、あなたの会社は無個性な「その他大勢」の中に埋もれてしまい、「お、この会社は何か違うぞ」という、相手の興味を引くことは到底できません。

相手(顧客)が、物語の主役になっていない

そして最も重要な点がこれです。事業内容の説明は、あくまで「自分たちが何をしているか」という、自分本位のメッセージです。

しかし、相手が本当に知りたいのは、「自分(顧客)にとって、どんな良いことがあるのか?」ということです。
相手が物語の主役になっていない自己紹介は、ただの退屈な宣伝でしかありません。

語るべきは「物語の冒頭」
相手を惹きつける“30秒ストーリー”の構成要素

では、何を語れば良いのでしょうか? 

まず、目的を明確にしましょう。30秒の自己紹介の目的は、全てを説明し、その場で契約を取ることでは断じてありません。相手の心に「お、この会社は何か違うぞ」「もっと話を聞いてみたい」という、ポジティブなフック(興味の引っかかり)をかけることです。

そのためには、事業説明ではなく、相手を惹きつける「物語の冒頭」を語る必要があります。優れた物語の冒頭が読者を一気に引き込むように、優れた自己紹介も、聞き手の心を掴むための、計算された構成になっています。

「30秒ストーリー」を構成する3つの要素

1. 誰のための物語か?(ターゲットと、その人が抱える課題)
あなたの会社が、「誰の」「どんな悩みや課題」を解決するために存在するのかを、まず明確にします。これにより、聞き手は「これは、自分のための物語かもしれない」と、瞬時に当事者意識を持つことができます。


2. なぜ、その物語を語るのか?(使命・存在意義)
あなたの会社が、なぜその課題解決に情熱を燃やしているのか。その根底にある「譲れない想い」や「果たすべき使命」を伝えます。これが、物語の魂となり、聞き手の共感を呼び起こします。


3. どんな結末を約束するのか?(独自の価値・ベネフィット)
あなたの会社と付き合うことで、相手が手に入れることができる「他社にはない独自の価値」や「理想の未来」を、簡潔に示します。これが、物語への期待感を高める「約束」となります。

【実践編】中小IT企業の「30秒ストーリー」ビフォー&アフター

それでは、先ほどの3要素を使って、よくある自己紹介を、相手の心を掴む「伝わる物語」に書き換えてみましょう。
ここでは、誠実な仕事ぶりが強みのある中小IT企業をイメージしています。

ビフォー(よくある事業説明)

「株式会社○○と申します。創業15年でして、地元の中小企業様向けに、ITインフラの構築から保守、セキュリティ対策までをワンストップでご提供しております。品質と誠実な対応がモットーです。」

→ 間違ってはいない、事実の正しい説明です。しかし、残念ながら記憶には残りにくく、他社との違いも伝わりにくいかもしれません。

アフター(心を掴む30秒ストーリー)

「私たちは、日々の業務に追われ、ITのことまで手が回らない地元の中小企業様(① ターゲットと課題)が、テクノロジーの不安から解放され、本業に安心して集中できる環境をお届けしたい(② 使命・想い)という想いで、大手には真似のできない、とことん親身なITサポート(③ 独自の価値)を提供している会社です。」

なぜ、これほどまでに印象が変わったのか?

アフターの自己紹介は、単なる事業内容の説明(What)ではありません。 「誰の(Who)」「どんな悩みを(Problem)」という聞き手を主役にした状況設定から始まり、「なぜ、私たちが存在するのか(Why)」という想いを伝え、そして「どんな理想の未来を約束するのか(Promise)」で締めくくる、共感を呼ぶ「物語の冒頭」になっているからです。

これなら、聞き手は「ああ、それはまさにうちの会社のことだ」「親身なサポート、それこそが求めていたものだ」「もっと詳しく話を聞いてみたい」と思わずにはいられないのではないでしょうか。

「30秒の物語」は、あらゆるビジネスシーンを勝ち抜く武器になる

この強力な「30秒の物語」は、もちろんエレベーターの中だけで使うものではありません。
一度作り上げてしまえば、あらゆるビジネスシーンで貴社の価値を伝え、チャンスを掴むための、最強の武器となります。

  • ウェブサイトのトップページに掲げる、会社の顔となる中心的なメッセージとして。
  • 会社案内の冒頭で、企業の姿勢と存在意義を示す、力強い言葉として。
  • 全ての提案資料の最初のページに記載し、商談の“つかみ”を確実にする一文として。
  • そして、社員全員がいつでもどこでも語れる、会社の共通言語として。

最も重要なのは、社員全員がこの「30秒の物語」を自分の言葉として共有し、ウェブサイトでも、名刺交換でも、商談でも、あらゆる場面で一貫して語ることです。その一貫性こそが、企業のブランドイメージを揺るぎないものとし、お客様からの深い、本物の信頼を獲得していくのです。

あなたの会社の「30秒の物語」を、一緒に創りませんか?

会社の「強み」や「誠実さ」は、ただ持っているだけでは伝わりません。

 それを、相手の心に響く、凝縮された「物語」に翻訳して初めて、ビジネスを動かす本物の力となるのです。
さて、冒頭の質問に戻ります。 もし今、エレベーターで生涯で一番のお客様候補と乗り合わせたら、あなたは30秒で、自社の何を語りますか?

この「会社の自己紹介」とも言える、短く、しかし最も重要な物語を、社員の皆さんと一緒に練り上げ、誰もが語れるようにする活動こそ、私たち株式会社DIANTがご支援している『ブランディング』の核心です。
貴社ならではの、そして貴社の魂が込められた「30秒の物語」を、私たちと一緒に見つけ出し、磨き上げるお手伝いをさせてください。その物語が、未来への扉を開く、魔法の鍵になるはずです。

ブランディングデザインにご興味がございましたら、ぜひ以下のリンクもご確認ください。

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